多い?少ない?鉄道会社の「CO2排出量ランキング」 他交通機関からのシフトで削減負担が減らない
また、国土交通省によれば、2020年度における日本全体のCO2排出量は10億4400万トン。もっとも多く排出しているのは工場などの産業部門で3億5600万トンで全体の34.0%を占める。ついで運輸部門が1億8500万トンで同17.7%を占める。
こう見ると、運輸部門のCO2排出量は確かに多い。だが、運輸部門の内訳を見ると、マイカー、トラックなどの自動車が運輸部門の87.6%を占める。鉄道は同4.2%にすぎない。つまり、CO2排出量全体に占める鉄道の割合は0.7%である。
会社別のCO2排出量は?
鉄道業界全体の状況を踏まえて、会社別のCO2排出量を見ていく。まず、産業全体の状況から。東洋経済が作成した2020年度のCO2排出量ランキングを見てみると、上位10社は以下のとおりとなっている。
1位:日本製鉄 7600万
2位:ジェイエフイーHD 4890万
3位:J-POWER 4290万
4位:関西電力 3581万
5位:九州電力 3280万
6位:東北電力 3012万
7位:中国電力 2454万
8位:ENEOSHD 2260万
9位:三菱ケミカルHD 1532万
10位:太平洋セメント 1432万
※HD=ホールディングス
ランキングの上位10社には製造業や電力会社がずらりと並ぶ。さらに下を見ていくと、鉄道会社ではJR東日本が194万トンで46位に顔を出す。さらに57位JR西日本、62位JR東海、118位東急と続く。
鉄道業界全体のCO2排出量は日本全体の0.7%でしかないのに、なぜ上位陣に鉄道会社が名を連ねているのか。その理由は簡単で、鉄道全体に占めるJR東日本やJR西日本の輸送規模が大きいことに尽きる。輸送人キロで見ると鉄道全体に占めるJR東日本のシェアは3割に達する。ちなみに航空業界を見ると、CO2排出量全体に占める航空の割合は0.5%で鉄道よりも小さいが、会社別に見るとANAホールディングスが26位、日本航空が28位でJR東日本を上回る。国内の航空業界においてANAと日本航空が圧倒的なシェアを占めていることを考えれば当然である。
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