2年半も「感染ゼロ」続く相撲部屋は何が違うのか 名古屋場所では休場者が続出し174人が休場

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
西岩部屋の集合写真。後列左から床明、正男、若田中、八女の里、西岩親方、透輝の里、若金子、弘行、木村一馬。前列左から若清、若大根原、若新、若箭原、里田中

大相撲名古屋場所は休場者が続出し、波乱の幕切れとなった。本場所前から新型コロナウイルスがまん延し、力士は13部屋にわたって174人が休場した。

日本相撲協会は2020年3月の春場所を無観客開催としてから、新型コロナウイルスへの感染予防対策に努めてきた。あれから約2年半、多くの部屋で感染者が出たが、今もまだ感染者ゼロの部屋もある。

現在、相撲部屋は43部屋あるが、感染経験者ゼロで協会のガイドライン違反による処分もない部屋は西岩部屋、入間川部屋、武隈部屋の3部屋だけ。武隈部屋は今年2月に創設されたため、約2年半も踏ん張ってきたのは2部屋だけになる。

もちろん、環境に恵まれた面もある。部屋に関取が不在で、付け人をともなって行動することがない。どちらの部屋も小所帯で、力士数は西岩部屋が9人、入間川部屋は8人。相撲部屋は集団生活が基本となるため、人数が多いほど感染しやすくなる。

西岩親方(元関脇若の里)は「ウチは小さい部屋ですから。運もあるでしょうね」と謙遜する。だが、2年半も感染者を出していないのは、小所帯が理由だけではない。「感染対策はこの2年半、徹底してやってきました」とも言う。

日本相撲協会よりも厳しい独自のルール

日本相撲協会は基本的に、本場所が始まる2週間前から外出制限をかける。コインランドリー、コンビニエンスストア、ケガなどの治療、買い出しに限ってはOKとしているが、西岩部屋はコインランドリーとコンビニも禁止。協会よりも厳しい部屋のルールを決めている。

買い出しは、混雑する夕方を避ける。閉店間際にまとめて、翌日の昼と夜のちゃんこの具材を1回でまとめ買いする。部屋に戻ると、外出中に着用していたマスクは袋に入れて廃棄し、新しいマスクに替える。手洗い、消毒も欠かさない。集団生活をする大部屋でもマスクは着用したままだ。

力士のストレスがたまらないような工夫も凝らしている。親方がラーメン、おかみさんがパフェを作ってふるまうこともある。外出OKの時期は、全員で外食することもある。その場合は必ず、個室にする。昨年夏は、群馬・草津町の相撲研修道場で合宿を行い、温泉につかった。

予防していても感染してしまうことはあり、感染者が出た部屋を責めることはできない。しかし、感染者ゼロの部屋にはそれなりの理由がある。西岩親方は「ウチは関取もいませんし、力士は2日に1回しか場所にいかない。そういう面でも感染しにくかったと思います」と言いつつ「力士たちが頑張った証拠だと思います。この2年半、本当に負担をかけて、申し訳ない気持ちもあります。1日も早く収束してほしいですね」と言葉に実感を込めた。

(佐々木一郎)

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事