京都人特有の「あうんの呼吸」が生まれたワケ 京都の人が持つ「格式と特権意識」のルーツとは
京都人は「いけず」といわれる。「いけず」とは、意地悪でにくたらしい様子を表す言葉だ。これは京都人の排他性に対する皮肉であるとともに、日本の中心であり続け、現在も華やかな文化を継承する京都に対する憧れの裏返しの言葉でもある。
京都は1000年以上にわたって日本の「都(みやこ)」であり、日本の歴史や文化をリードしてきた土地だ。一方で、京都は時代ごとの権力者や商人が目指した。現在の東京がそうであるように、大都市は基本的に地方出身者が多く集まる傾向にある。なぜ、多くの流入者が集まる京都では、これに反発する排他性が生まれたのだろうか。『カラー版 地形と地理でわかる京都の謎』から、京都の特殊性について一部抜粋、再構成し、お届けする。
「ぶぶ漬け、どうどす?」に見られる排他性
京都人のコミュニケーションの有名なエピソードとして、「ぶぶ漬け(お茶漬け)、どうどす?」と勧める、というものがある。「そろそろお帰りください」という暗黙の言葉であり、「はい」と答えれば笑いものになるとされる。これは一種の都市伝説のようなものだが、京都人がはっきりと意図を伝えない気質がよくわかるエピソードだ。
なぜ、京都人はこのような回りくどい言い方をするのか。それは、京都人が長い歴史の中で「よそもん」を排除してきたためだ。「京都十代、東京三代、大阪一代」と言われるように、京都人と認められるためには何代にもわたって暮らす必要がある。逆にいえば、京都人は親や祖父母のみならず、先祖からの知り合い同士ということだ。
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