自民党最大「安倍派」後継不在でうごめく権力闘争 今は「塩谷・下村」中心の集団指導体制だが混沌
世界に衝撃を与えた安倍晋三元首相の非業の死を受けて、自民党の最大派閥・安倍派(清和政策研究会)の“行く末”が注目されている。後継争いの果ての分裂ともなれば、党内の権力闘争の構図が一変するからだ。
安倍派は安倍氏死去後初の総会で、9月27日の「国葬」までの服喪期間も考慮して、当面は集団指導体制での派閥運営を申し合わせた。ただ、その背景には「安倍氏に代わる有力な後継者がいない」という実態がある。
そもそも同派は、党内保守勢力(タカ派)の牙城で、第2次安倍政権発足以降、内政外交全般にわたって日本政治の方向づけを主導してきた。しかし、党内には「安倍氏死去後の影響力維持は困難」(自民長老)との見方が広がる。
しかも党内では「後継争いは長期化必至で、結局は分裂する」(岸田派幹部)との声が多い。今のところ集団指導体制がいつまで続くかも不透明で、「分裂すれば党内各派閥の力関係も変わる」(同)だけに、党全体が安倍派の動向に目を凝らす状況となっている。
「遺志を引き継いで」と昭恵夫人
安倍派は7月21日、党本部で安倍氏死去後初の総会を開き、当面安倍氏に代わる新会長は置かず、塩谷立会長代理ら現在の執行部による集団指導体制とすることを最終確認した。
総会には安倍氏の妻・昭恵氏も出席し「遺志をしっかり派閥で引き継いでほしい」とあいさつ。これを受け、塩谷氏は①清和会の責務は一致結束して安倍氏の遺志を引き継ぐこと、②派閥の呼称は「安倍派」のままとする、などを同派の総意として取りまとめた。
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