松本明子さん「遺品整理にはこんなコツがあった」 プロに聞いた、効率的に空き家を片づける方法
上野:そんな事態を避けるためにも遺言やエンディングノートなどが必要になるわけですが、そういうものを親が残さずに他界した場合は、遺族が大量の家財の中から貴重品(預貯金通帳、貴金属、有価証券、登記簿謄本、各種契約書など)や残すべき品などを見つけ出さないといけなくなります。
でも、大量に残された物と格闘し、ひとつひとつ「いるもの、いらないもの」を選別するのは、精神的にも労力的にも金銭的にも負担が大きくなります。
親があらかじめ「いる、いらない」を指示してくれていたら、その苦労をしないで済むわけです。
捨てていいよ、と言われていたらどんなにラクだったか
松本:よくわかります。私の場合、たとえば母の残した大量の着物があったのですが、生前に母の意向を聞いていなかったのでずいぶん悩みました。捨てていいよ、と言われていたら、どんなにラクだったか。
上野:そうなんです。親の意向がわからないと、明らかに捨てていいとわかるもの以外は、極端な話、1つひとつ「いる、いらない」を判断しないといけなくなります。
松本:そうすると、ついつい、あれこれ手にとっては、見入ってしまうんですよ。だって小学生のときに使った彫刻刀とか出てきちゃうんですから、もう懐かしくて。
上野:お気持ちはよくわかります。ただ、思い出に浸りすぎてしまうと、なかなか片づけは進まないんですよね。いくら時間があっても足りなくなってしまいます。
松本:では、どうすればいいでしょうか?
上野:片づける前に、手元に残しておきたい物の数や量を決めておくことです。
貴重品は必須ですから、それ以外で考えるといいでしょう。具体的には、自分のいま住んでいる家の収納スペースなどを考え、持ち帰るのは1人(1家族)10個までとか、ダンボール箱一つだけとか、上限を設定しておくのです。
松本:本当に手元に残しておきたいものだけを選んで持ち帰るわけですね。