東急田園都市線ホームドア「支障」の意外な共通点 駅員の負担軽減、「センサーの汚れ」対策とは?

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研究は、東急がこどもの国線・世田谷線を除く全線にホームドアや固定式ホーム柵の整備を終えた直後の2020年7月ごろスタートした。プロジェクトの中心となった須崎隆幸さんは、「例えば田奈駅は雨の日だと1日10件以上センサーの汚れによる支障があった」といい、「通常の駅業務がある中、何度も対応に行くのをいかに減らせるかが課題だった」と、この問題に着目した理由を語る。

まず始めたのは、どの駅のどの位置でいつ発生しているのかのデータを集めることだ。7月から10月まで4カ月間の件数を集計すると、長津田・中央林間を除く5駅で計195件の「汚れ検知」による支障が発生していた。突出して多かったのは91件の田奈駅で、次いで51件のつきみ野駅、3番目が46件のすずかけ台駅。逆に少なかったのは、1件のみのつくし野駅と6件の南町田グランベリーパーク駅だった。

共通点は「通過列車がある駅」

分析の結果、多発する場所の共通点として判明したのは「通過列車がある駅」「掘割や見通しのいい高架駅」、そしてホームに屋根がない場所だ。発生しやすいのは雨の日で、通過列車による風で舞う雨粒や砂などが影響している可能性が高いとわかった。

5駅のうち、南町田グランベリーパーク駅以外は急行通過駅。田奈駅は周辺に農地などが広がる見通しのいい高架駅で、急行だけでなく準急も停まらないため通過列車が多い。つきみ野駅は「掘割で砂がたまりやすく風が強い」(荒川さん)場所で、すずかけ台駅は屋根が少なくホームに土手がある。一方、件数の少なかったつくし野駅は急行通過駅ではあるものの、「長津田側にカーブがあるので、ほかの駅は通過速度が時速90kmくらいなのに比べて60km程度と低く、風もあまりない」といい、通過列車の速さも関係するようだ。ただ、同駅も長期間調査すると、一部の車両の位置だけ集中的に発生していた。「上を通る道路の影響ではないか」という。

また、何度拭いても再発するのはセンサー側にも要因があると考えられた。風雨にさらされているうちにセンサー表面の「親水性」が低下し、水をはじきやすくなる。水をはじくと雨粒が表面に残り、汚れとして認識されてしまうという。

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