話の途中で部下に助言する上司ほど能力が低い訳 優れたリーダーは口を挟まずじっくり話を聞く
「先方の担当者はこちらからの提案に乗り気だったと思います」
「そうなんだね、それは実際に相手が乗り気だと言っていたということかな、それとも○○さんがそう思ったということ?」(事実情報かどうかの確認)
「あ、私が商談している中でそう感じたということです」(感情)
「教えてくれてありがとう。じゃ、○○さんの感覚としてはこのお客さんは前向きに検討しているということだよね?」
「はい、そう思います。おそらく他の競合から出ている提案よりウチの提案の方が魅力的なんじゃないかなと思います」(推測)
「どんなところから、そう感じるの?」
「そうですね、実際商談の中で『他の会社からの提案はあまりピンとこない』とおっしゃっていたので(事実情報)、私としては気に入ってくださったのかなと思いました」(推測)
「そんな商談だったんだね。(過去情報として受け取る)それで、次のステップとして○○さんはどうしようと思っているの?」
「そうですね、『あと1社と商談をする』とおっしゃっていたので、それを待ってから改めて先方の意向を聞こうと思っています」(未来の話)
「○○さんの意向はわかったよ。ありがとう。少し話をしたいのは、それを待っている間、私たちのほうで何かできることはないかなということなんだけど、どうかな?」(現在を照らす)
「たしかにそうですね。うちの提案を忘れられないように、過去事例をまとめてお客様にメールしておくことはできると思います」
「わかった。じゃ、それやってみようか」
部下の話を「整理しながら」聞く
いかがですか。「事実情報」なのか「それ以外」なのか?「感情」「思考」「推測」のどれなのか?「過去」「現在」「未来」のどれなのか?部下の話をこういった分類で整理しながら聞くことについて、ある程度イメージしていただけたのではないでしょうか?
ここでの目的は部下の話を正確に分類することではなく、ある程度区別して受け取ることだと思ってくださいね。それにより、会話の方向性を見出すことができるようになるのです。
先程の事例でも、聞き手側の上司が部下の話す内容をある程度分類しながら話を進めることで、会話を整理しながら方向性を見出すことができていたと思います。こんな形で会話を進めることができれば、部下も自然に思考を深めることができるようになります。
改めてお伝えすると、とても当たり前のことに聞こえると思いますが、部下の話を聞くときは、聞くことに集中してください。これ、頭の回転の早い方ほど、部下の話を聞いた瞬間にアドバイスや対応策などが浮かんで、しゃべり出してしまうもの。一口で言えば、「聞くときは静かに聞きましょう」ということです。
なんだか、小学校の先生が生徒たちに言う言葉のようですが、静かに聞けない上司がとても多いのです。
先ほど部下の話を聞くときは、「事実情報」なのか「それ以外」なのか?「感情」「思考」「推測」のどれなのか?「過去」「現在」「未来」のどれなのかについて把握しながら聞くことをお伝えしました。
そんな複数のタスクを遂行していたら聞くことで手一杯で、とてもではありませんが、「聞いて、考えて、自分の言葉としてしゃべる」なんていうマルチタスクを同時にできるはずがないんです。ですから、「聞くこと」と「しゃべること」はきっちりと分けると心得てください。
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