家事を忘れる夫に妻が考え出した納得の仕組み これで妻のイライラは解消、夫婦仲は良好に

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ビジネスの会議でも、責任の追及と問題解決を混同してしまう人はいます。でも、責任を追及したところで、問題の解決にはつながりませんよね。問題と向き合い、要因を洗い出し、解決策を考える。本来、会議とはそういう場であるはずです。

そのためパートナーとの問題に向き合う際には、まず、自責でも他責でもなく、「誰も悪くない」という前提で臨むことをおすすめします。相手に非があると決めつけず、「最近家事をやらないのは、何か理由がある?」と、まずは背景を聞いてみるのです。

「責任」を追及することに、意味はない

心理学者のリール・ローゼンツァイクが提唱した、問題を自分のせいにも他人のせいにもしない「無責的思考」という考え方があります。「誰が悪いか正しいか」を追求することには意味がありません。追求すべきは「問題を解決するにはどうすればいいのか」です。

「無責的思考」を、ビジネスを例にして見てみましょう。たとえば、新入社員の電話対応のミスがきっかけで、顧客からクレームを受けたとします。その際によくあるのが、次のような議論です。

・問題 新入社員のスキルや学習が不足していること
・視点 ミスをした新人が悪い
・解決策 2度と同じミスをしないように注意する

新入社員のスキル不足が原因だから、「次は注意してね」と指摘する。たしかにこれで、ミスをした新人のスキルは改善されるかもしれません。ただ、別の年次の人が同じようなミスをしないとはかぎりません。それに翌年も新入社員が入ってくることを考えると、ミス再発の可能性が残ってしまうように感じます。

一方で、「無責的思考」で問題を捉えてみると、こんなふうに考えられます。

・問題 ミスを防げる仕組みがないこと
・視点 新人が悪いわけではなく、誰にでもミスは起こり得る
・解決策 部署共通の電話対応マニュアルを作ったり、電話対応の研修を来年度から導入したり、組織全体でミスを予防できる仕組みを作ろう

特定の誰かが悪いのではなく、ミスが起こりやすい仕組みが悪かったのだと考える。そしてミスを予防する仕組みを作る。これなら、他の人のミスや、再発も防止できそうです。個人の責任だと非難するよりも、「失敗は誰にでもあるから、失敗しない仕組みを考えよう」という前提で問題を捉えたほうが、根本的な解決につながるのです。

では「無責的思考」をパートナーとの対話に取り入れると、どうなるのでしょう。お互いに忙しく、家事の分担でモメているケースで考えてみましょう。

・問題 パートナーが家事に非協力的。もしくは仕事への理解がないこと
・視点 自分の状況を理解してくれない相手が悪い
・解決策 どちらかが折れて家事を多くやる

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