国会議員が得る「お金」がどれほどか知ってますか 文書通信交通滞在費の問題は継続して議論が必要

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参院選も終わった今、国会議員の特権について改めて考えてみます(写真:Graphs/PIXTA)

今回の参議院選挙は自民党が圧勝しました。多くのタレント議員が誕生しましたが、一部の議員には当選後の会見を拒否する姿勢が見られました。公人である以上、自らの言葉で有権者に説明する責任がありますが本人の姿が見えないのは残念なケースです。

落選しない限り参議院議員は6年間の職位が保証されます。今回は、あらためて注目される国会議員の報酬について解説します。

議員報酬は高いのか

憲法では国会議員の報酬を次のように規定しています。憲法49条「両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける」。国会法35条「議員は、一般職の国家公務員の最高の給与額(地域手当等の手当を除く。)より少なくない歳費を受ける」。さらに、歳費法によって歳費、旅費および手当等の支給についても細かく規定されています。

いったい、いくらになるのでしょうか?

国会議員の歳費は月額129万4000円と定められています。年額で1552万8000円になります。ここに、期末手当(賞与)として年額635万円が加算されますので、総額2187万8000円が基本ベースです。

昨今問題視されている「文書通信交通滞在費」(現在は「調査研究広報滞在費」に名称変更)が1200万円(月額100万円×12カ月)が支給されます。領収書の公開などが不要であるため、第2の給与とも呼ばれさまざまな用途に使用されているのが実情です。領収書による精算が必要ありませんからブラックボックスです。

1200万円(月額100万円×12カ月)もの領収書も必要ないお金を一般人が稼ぐにはいくら必要でしょうか。所得税で40%控除されることを踏まえれば、約1700万円(月額141万円×12カ月)の収入が必要になります。

次に、「立法事務費」780万円(月額65万円×12カ月)を加算してみましょう。立法事務費は会派に対して支払われますが、1人会派だとしても政治資金規正法上の政治団体として届け出ていれば認められます。また、まったく活動していなかったとしても立法事務費の使い道を第三者が確認する術はありません。

使途公開の必要のない月額65万円を一般人が稼ごうとするとどうなるのでしょうか。所得税で40%控除されることを踏まえれば、1296万円(月額108万円×12カ月)程度の収入が必要です。基本ベース2187万8000円+1700万円=3887万8000円(議員歳費+文書通信交通滞在費)に1296万円(立法事務費)を加算すると、5183万8000円となります。

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