「余命半年」でも1年以上生きる男性が受けた治療 がん終末期ではいかに痛みをとるかがカギに

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医療用麻薬は、今ではがんだけでなく、腰痛などの治療で「強い痛み止め」として健康保険が適用されています。

麻薬という言葉の持つイメージから、依存性を心配される方もいますが、痛みがある状態の人が使用する場合は、麻薬成分は鎮痛作用として働くことから、中毒や依存症にならないことがわかっています。適切に使用すれば、安全で、かつ効果的であることが実証されているのです。

医療用麻薬には痛みだけでなく、息苦しさなどを和らげてくれる効果もあります。また、緩和ケアは早期から導入することで、うつなどの症状が出にくく、標準的な治療だけを受けるよりも生存期間が延長されたという研究結果も報告されています。

ですから、緩和ケアや医療用麻薬に関してネガティブなイメージはぜひ払拭していただき、正しい理解のもとで適切な薬を使うケアを受けていただけたらと願っています。

家に帰ったら痛みが和らいだという患者も

がん患者さんのなかには、「薬は使わないに越したことはない」と思い込まれている方もいます。しかし、痛みを我慢することは、体を消耗させることにもつながります。言わずもがな、強い痛みと戦う時間を少しでも減らすことは、生活の質を上げることにもつながります。

痛みといえば不思議なことですが、在宅で診ていると「家に帰ったら痛みが和らいだ」という人がいます。これは自宅で過ごす安心感やリラックス感がもたらす精神的な影響だと思いますが、病院にいるときより目に見えて元気になられる患者さんの姿を、これまで何人も目にしてきました。

そのたびに、心からくつろげる空間に身を置くことの効果を実感しています。

痛みという問題からみても、在宅医療は悪くない選択肢の1つだと思います。「最期は家で過ごしたい」という気持ちが少しでもあったら、できるだけ早く在宅医と関わってほしいと思います。

(構成:ライター・松岡かすみ)

中村 明澄 向日葵クリニック院長 在宅医療専門医 緩和医療専門医 家庭医療専門医

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なかむら あすみ / Asumi Nakamura

2000年、東京女子医科大学卒業。国立病院機構東京医療センター総合内科、筑波大学附属病院総合診療科を経て、2012年8月より千葉市の在宅医療を担う向日葵ホームクリニックを継承。2017年11月より千葉県八千代市に移転し「向日葵クリニック」として新規開業。訪問看護ステーション「向日葵ナースステーション」・緩和ケアの専門施設「メディカルホームKuKuRu」を併設。病院、特別支援学校、高齢者の福祉施設などで、ミュージカルの上演をしているNPO法人キャトル・リーフも理事長として運営。近著に『在宅医が伝えたい 「幸せな最期」を過ごすために大切な21のこと』(講談社+α新書)。

 

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