「ちむどんどん」なぜ暢子の恋を応援できないのか 6月27日から3週間かけたラブストーリーが不発
4人の中で唯一、視聴者が感情移入し、応援できたのが愛。結婚話を進めようとしない和彦に、「何も決めないし、行動もしない。決断もまかせる? それって逃げてるのと同じじゃない? 私は和彦の気持ちが聞きたい」と勇気を持って伝えたシーンは視聴者の共感を誘いました。
さらに愛は、「迷ってるから相談してるの。親の期待を裏切りたくない。女としての幸せも手に入れたい。だけど記者としての私も大事にしたい。『でもどうせ大した仕事もできない』って自分を疑う私もいる。この自己矛盾を誰かに解いてもらいたい。強い光で進むべき道を照らしてほしい。まだ正式にプロポーズもされていないのに、どうして私だけで話を進めなければいけないの?」と自分の気持ちを伝えて和彦と向き合おうとしました。
視聴者の感動を呼んだ愛の文面
最後も和彦に、「読んでみて。記者らしく要点をまとめてみました」と切り出して手紙を渡し、自ら別れを宣言。その誠実さと愛情があふれた文面が視聴者の感動を呼びました。
「みんながいなかったら今の私にも出会えなかった。私が考える幸せに向かって歩いて行きたい。夢だったパリ、私は一歩踏み出す決意をしました。和彦とお別れします。勝手に決めてごめんなさい」
「あなたが想像もできないくらい私はあなたのことが好きでした。優柔不断なくせに頑固なところ、ちょっぴり鈍感だけど誰より思いやりがあるところ、嘘がつけないところ、あきらめの悪いところ、熱い志を持っているところ」
「和彦は暢子ちゃんのことが好きだよね。ごめんなさい。前からわかっていてわかっていないフリをしていました。優しいあなたは随分悩んだことでしょう。自分を責めないでください。私はあなたが前に進むことを、あなたの幸せを心から祈っています」
制作サイドは「愛が身を引いた」というイメージのストーリーにしたのかもしれませんが、そもそもパリに行くとしても和彦と別れる必要はないだけに、視聴者の印象は略奪。なぜ両親を巻き込んで結婚目前まで進んだカップルを別れさせなければいけなかったのか。視聴者の頭にそんな疑問が残っているだけに、この先、暢子と和彦の恋をどんなに盛り上げようとしても、愛の幸せな人生が明かされない限り支持は得られないでしょう。
唯一、感情移入できた愛が物語から退場してしまったことで、『ちむどんどん』におけるラブストーリーとしての期待感は、ほぼ消滅してしまいました。本来、愛は“当て馬”のポジションであり、もう少し悪いところのあるキャラクターにしたほうが視聴者は暢子と和彦の恋を応援しやすかったでしょう。
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