「ヨーグルトや納豆に頼った腸活」には限界がある 「生きて腸に届く商品」もそれほど有効ではない

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ぜん動運動は、入って来た食べ物を分解・消化し、吸収し、さらに便を作っていらないものを排出するために欠かせない動きです。

胃と腸それぞれが筋肉を収縮・弛緩させる動きを繰り返し、中に入っているものを移動させていきます。ですから、もしもこのぜん動運動が止まってしまったら、消化吸収も排便もうまくいかなくなります。

慢性便秘に悩む方は、たいてい大腸のぜん動運動が弱くなっているのです。

ぜん動運動が活発なら、便が大腸内に居座らず排出されます。便と一緒に悪玉菌のエサになるタンパク質のカスや、悪い脂なども排出されるので、悪玉菌が腸内で極端に増殖する心配はありません。

しかし、ぜん動運動が弱いと、せっかく善玉菌を増やすような食事をしても、それらがきちんと腸に作用しない可能性が高くなります。

また、意外と知られていませんが、腸がよく動けば、腸粘膜からムチンという液体が出てきます。このムチンはビフィズス菌や乳酸菌のエサになります。

つまり、ぜん動運動が促進されることで、結果的に善玉菌も増えるのです。

食事には気をつけているのに腸の調子が改善しないという人は、腸のぜん動運動の促進を意識する必要があります。

基本的には自律神経、すなわち交感神経と副交感神経のバランスが上手く取れていると、腸の動きが活発になります。

言ってみれば、腸のぜん動運動は、私たちの意思とは関係なく起こっています。「動け!」と命令をして動かすこともできませんし、腸の中に命令するものがいるわけでもありません。

けれど、諦めるのは早計です。ちょっとした工夫で、腸を動かすことが可能です。

体操とスープで「超動く腸」をつくる

腸のぜん動運動を促すのに有効な方法の一つが「適度な物理的刺激」です。体を軽くねじる、お腹をさするといった簡単な動作を、短時間行うだけでよいのです。

また、食材でアプローチできる方法もあります。ダイレクトに有効なのが、ビタミンB群のひとつである「パントテン酸」という成分です。パントテン酸は、自律神経(副交感神経)を刺激してぜん動運動を促進する作用があります。パントテン酸を多く含む食物(シイタケなど)を意識して摂るといいでしょう。

『結局、腸が9割 名医が教える「腸」最強の健康法』(アスコム)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

本書では、日常の中でできる「腸元気体操」やパントテン酸と水溶性食物繊維の両方がバランスよく含まれている「腸のクリーニングスープ」のレシピも掲載してます。

腸内細菌は本当に不思議です。

例えば、外部から体内に入ってくるブドウ球菌のような細菌は、腸内に定着して生きることはできません。異物として消化液で殺されたり、殺せないものは大急ぎで体外へ排出されます(そのような場合に、下痢が起こります)。

それは、悪い菌だけでなく、いわゆる善玉菌も同様で、外部から取り入れようとしても思ったほど定着しません。すでに体の中で定着している善玉菌が、できるだけ増えるような生活習慣を心がけることが、腸活のポイントというわけなのです。

川本 徹 消化器専門医

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かわもと とおる / Toru Kawamoto

1987年筑波大学医学専門学群卒業。専門は消化器外科。元筑波大学消化器外科講師。2003年より、アメリカテキサス大学MDアンダーソンがんセンターにてがんの研究も行うなど幅広い知識も習得、2010年にみなと芝クリニック院長に就任。患者の症状に対し全体と細部の両方からアプローチする「森を見て木を見る」診療がモットー。日本テレビ 「ザ・世界仰天ニュース」、テレビ朝日 「林修の今でしょ!講座」などメディア出演多数。

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