中高一貫校がますます大学受験で有利なワケ 6年後のセンター試験廃止でも凋落しない
各大学の個別選抜においては、「小論文」「面接」「集団討論」「プレゼンテーション」「調査書」「活動報告書」「資格・検定試験」などの成績、各種大会などでの活動や顕彰の記録などを活用するという方針が検討されている。簡単に言えば、新卒の就職活動のような形式だ。これが本当のAO入試(アドミッション・オフィス入試)である。
一部の大学で、AO入試が単なる生徒の早期囲い込み施策として利用されてしまっているため、このところ評判が悪いが、欧米の大学ではこの方式が主流であるし、慶應湘南藤沢などではこれがうまく機能している。2016年からは東大と京大が推薦入試枠を設けることも発表されている。「脱ペーパーテスト」へ向けての布石と考えられる。
新しい大学入試制度は中高一貫校に有利
中高一貫校では高校受験対策の必要がないから、中学のうちは目先の1点、2点を気にせずに学習できる。理科の実験・観察、社会のフィールドワークやディスカッションに時間をかけ、英語や数学、国語など、受験の主要科目においても、調べ学習やレポート形式の課題が多い。みずから課題を発見し、解決の手段を探り、論文にまとめる訓練を繰り返している。「詰め込み」とは真逆の「真のゆとり教育」を行っているのだ。
そうやって特に中学のうちに学力の土台を広げておくから、最後の1年間、受験勉強をがんばれば、効率良く高い学力が身に付くのだ。だから大学入試で結果を出すことができる。
さらに、名門校と呼ばれるようないい学校ほど、実は大学受験に特化した授業をしていない。まさにリベラル・アーツと呼べるような、教科横断型のアクティブラーニングを行っている場合も多い。大学レベルと思えるような内容のものまである。海外研修を行う学校もある。詳しくは拙著『名門校とは何か? 人生を変える学舎の条件』(朝日新聞出版)(2月13日発売、税抜860円)に記した。
これらの学びの体験はそのままAO入試で求められる学力の素地となる。
名門校と呼ばれるような学校の生徒たちは「ペーパーテストの達人」というイメージをもたれているが実際は、彼らはペーパーテストだけができるのではない。総合的な学力の一部として、ペーパーテストでも高い成果を上げることができているのである。各種国際科学オリンピックや英語スピーチ大会、数学オリンピックなどで活躍する高校生に、名門校と呼ばれるような学校の生徒が多いことが、その証左と言えるだろう。
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