せんべろ(1000円でベロベロに酔える)の街の1つとして有名な東京都北区赤羽。東京の中では北端にあり、荒川を挟んで埼玉県川口市との県境に位置する。JR赤羽駅、東京メトロ赤羽岩淵駅を擁し、交通の便がよく通勤客など埼玉県の人もたくさん立ち寄る。
筆者も数カ月前まで赤羽に住んでいたので、赤羽の飲み屋街にはそこそこ詳しい。昔は夜勤を終えた工場の労働者のために朝から飲み屋が開いていた名残があり、今でも昼間から飲める街として栄えている。そんな、飲み屋街が支える街・赤羽もこのコロナ禍で大打撃を受けた。
厳しい局面を乗り越えた、さまざまな飲食店のコロナ禍の過ごし方と今をたどる連載第2回。今回は、赤羽一番街のシルクロードと呼ばれる通りにある「ホルモン焼き いくどん」赤羽店の店長、倉持正志氏、通称「マーシー」氏に話を聞いた。マーシー氏は赤羽の飲み屋街の中でもちょっとした有名人で、客を「いらっしゃいマーシー!」という掛け声で陽気に迎えてくれる。
常連客からアルバイト⇒店長へ
「いくどん」は都内に約30店舗系列店をかまえており、マーシー氏も最初はいくどん町田店(本店)の常連客からアルバイトとなり、その後に赤羽店の店長を任されるようになった。コロナ前までいくどん赤羽店の売り上げは右肩上がりだった。ところが2020年3月、コロナ禍となり、客が激減。通常なら月数百万円の売り上げが出るところが、月の売り上げが数万円となってしまったこともあった。
「2020年、最初に緊急事態宣言が出たときは東京都の要請に従って休業しました。そしてちょうどその頃、お客さんの知り合いが韓国チキンを売り出し始めたということで、そのチキンをテイクアウトとUberEatsで販売することにしたんです」
いくどん赤羽店は筆者も頻繁に食べに行っていたが、昨年のまん防中でもアルコールを提供していた覚えがある。そのため、いくどんは都の要請にずっと従っていなかったと思いこんでいた。
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