「赤羽のホルモン焼き店」この2年の苦悩越えた今 月数百万円の売り上げが一時激減、どう凌いだか

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「ホルモン焼き いくどん」赤羽店の店内。常時換気がなされている焼き肉店がコロナ禍で人気になっている(筆者撮影)

だんだんと活気を取り戻してきた赤羽の飲み屋街。週末になるとレトロな飲み屋の雰囲気を求めて若者たちでにぎわうという。そして、このタイミングでマーシー氏は新店舗を6月1日にオープンさせたばかりだ。コロナ禍で不安定な中、なぜオープンさせたのだろうか。

「知り合いの大家から『空き店舗があるから、店やりませんか?』と言われて、僕もう62歳になるんですが、チャレンジしたいと思ってオープンさせました。こっちの店は焼肉屋ではなく、僕が生まれ育った青森の名産を使った料理を提供する、少しオシャレなお店です。始めたばかりなので売り上げはまだまだです。これから頑張りたいですね」

円安・戦争による食材価格の上昇が打撃に

コロナの打撃はなんとか抜け出したが、今は円安に加えて、ロシア・ウクライナ戦争の影響などもあり、食材の仕入れ値が上がっていることが目の前の課題だという。いくどんは良心的な価格でおいしいホルモンが食べられる。しかし、仕入れ値が上がると値上げをしないとやっていけなくなる。できるだけ値上げはしたくないとマーシー氏は語る。コロナは収束を迎えようとしても、今度は戦争の問題が待ち受けていたのだ。

約40年の歴史がある、いくどんグループ。そしてもともとはいくどん町田店の常連客から従業員となり、社長と多くの先輩たちにお世話になって赤羽店の店長にまで登りつめたマーシー氏。本筋からはズレるが、以前いくどん赤羽店へ訪れたとき、隣で食べていた若い男性から話しかけられ「僕、以前ここでバイトしてたんですよ」とのことだった。元バイト先にバイトを辞めてからも食べに来られるとは非常に風通しの良い職場だったのだろう。

店のことも客のことも考えた末、途中から都の協力金には頼らず売り上げに賭けたいくどん赤羽店。人情味あふれるマーシー氏は今後もチャレンジし続けていくのだろう。

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本連載では厳しい行動制限を課されたコロナ禍において飲食店を経営され、現在も運営を続けている経営者の体験談を募集しております。取材の申し込みは以下(https://form.toyokeizai.net/enquete/tko2206c/)よりお願いいたします。
姫野 桂 フリーライター

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ひめの けい / Kei Himeno

1987年生まれ。宮崎市出身。日本女子大学文学部日本文学科卒。大学時代は出版社でアルバイトをしつつヴィジュアル系バンドの追っかけに明け暮れる。現在は週刊誌やWebなどで執筆中。専門は性、社会問題、生きづらさ。猫が好きすぎて愛玩動物飼養管理士2級を取得。趣味はサウナ。

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