京都の台湾まぜそば店「コロナ禍2年半」を経た今 夜の客足が戻らない中で新業態による底上げ模索

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京都で台湾まぜそば店とラーメン店を運営する「鷹くら」
今回は京都で台湾まぜそば店とラーメン店を運営する「鷹くら」を取材した
コロナ禍によって多大なる打撃を被った飲食店。今、彼らはどうしているのか。さまざまな飲食店のコロナ禍の過ごし方と今をたどる連載第5回。
今回は応募フォームから応募してきた京都で台湾まぜそば店1店、ラーメン店2店を経営している「鷹くら 台湾まぜそば」の狭間章男氏にリモートで取材を行った。京都というと観光地であることの次に思い浮かぶのがラーメン屋激戦区であること。ただでさえ厳しい状況の中で2年半にもわたるコロナ禍。どのように経営しているのだろうか。

協力金バブルからの危機

「もともとは飲み屋街である木屋町に飲みのシメのお客様を狙って『かがり』というラーメン店と、繁華街からは少し離れた宇治にもう一店舗『かがり』を出していたんです。木屋町だと家賃が月10万円、宇治だと同9万2000円。木屋町のほうの営業時間は21〜6時なので、2020〜2021年はこの深夜帯の営業時間だとまん防の措置で営業できず閉めていたんです。でも、協力金をもらえて、いわゆる協力金バブルで家賃を払えていたんです」

協力金バブルは連載第1回に登場した東京・新宿ゴールデン街の文壇バー、「月に吠える」でも上がった話だ(新宿の文壇バー主人「コロナ禍2年」の切実な体験/6月28日配信)。小規模の店だと通常の売り上げよりも協力金のほうが上回って儲かってしまうのだ。そして、その協力金を利用して2022年2月に台湾まぜそば「鷹くら」をオープンさせたというのだが、今、狭間氏は危機に瀕している。

「鷹くら 台湾まぜそば」の狭間章男氏
「鷹くら 台湾まぜそば」の狭間章男氏

「昨年、一昨年と協力金をもらったおかげで、今、税金がものすごいんです。そして新しくオープンさせた『鷹くら』もランチ時にはお客様が入るのですが、夜は3〜4組程度しか入らなくて……。今年は補助金もないし今後も出ないと思います。今、鷹くらは僕と妻二人で回していて体力的にもキツい状況です」

少しでも売り上げにつながらないかとSNSの運用を頑張ってみたり、インフルエンサーの人に協力してもらったりもしたが、なかなか繁盛しているとは言い切れない。また、関西で人気のローカル番組「よーいドン!」にも取り上げられたが、放送時間帯が昼間の時間帯のため視聴者の層が高齢者で、テレビ番組の集客効果も得られなかった。

また、昨年の夏、狭間氏自身がコロナのデルタ株に感染し、40度の高熱が4〜5日も続き入院し、重症化した。重症患者向けの切り札ともいわれる人工心肺装置ECMOを使う寸前まで体調が悪化したという。幸い一命を取り留めることはできた。店も閉めている期間だった。

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