米国が懸念する「安倍氏亡き後の日本」の凋落 安倍氏の海外での評価の高さが日本の重荷に?

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欧米を中心に評価が高かった安倍氏が日本の政界からいなくなることは、世界における日本のプレゼンスにどんな影響を与えるのか(写真:Bloomberg)

安倍晋三元首相が暴力的に暗殺された事件に対して世界で感情的な反応が広がり、悲しみが表明されたことは、1人の日本人指導者が世界的政治家として異例の地位を獲得したことを示している。アメリカのジョー・バイデン大統領がすべての連邦政府施設の前にアメリカ国旗を半旗で掲揚するよう命じたことは、外国の指導者の追悼としては異例の決定だ。

安倍氏は、その極めて長い在任期間と、指導者として進んで前に出る姿勢により、「日本の首相は回転ドアのごとく次から次へと変わるので誰が誰だかわからない」というイメージを払拭した。しかし、安倍氏の日本国内での役割は、容赦のない権力行使から賛否分かれる考え方まで、国外からはほとんど見えないままだった。

外交、安全保障政策への成果に注目

外交問題評議会日本担当のシーラ・スミス氏は東洋経済の取材に対し、「外交政策に携わる人々の頭の中や国外から見えるのは指導者としての安倍氏だ」と語る。「一方で、国内での安倍氏の顔もある。外交・対外政策面での安倍氏のレガシーは否定できないが、日本国民は彼をイデオロギー的な触媒となる人物と見ている」。

アメリカの政治アナリストやコメンテーターのほぼ全員が安倍氏の外交政策と安全保障政策のレガシーに注目している。集団的自衛権に対する憲法上の制限の再解釈に基づいた日本の安全保障上の役割の拡大が安倍氏の大きな功績だとしているのだ。

そして、中国に対抗するための地域の安全保障枠組みを構築する試みである日米豪印戦略対話および「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」構想の戦略的発案者としても称賛している。さらに、ドナルド・トランプ米大統領(当時)が就任初日に環太平洋パートナーシップ(TPP)から離脱した後も、その交渉だけでなく、貿易同盟構築を継続するという安倍氏の決定に注目している。

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