ITエンジニアが抱える理解されない特有の悩み ストレス要因を潰す余裕がなければ採用は困難
ITエンジニアのストレスとなる次の要因は、雇用保障期間です。SIer(システムインテグレーター)を中心に45歳で早期退職を募る企業も多く、「自分が定年(推定70歳)まで企業は存続するのか?」と仮定しながらキャリアを紡いでおく必要があります。
先日ある大手企業の社長と話していると「他社の社長に、自社に中途入社した人材を自慢したらしかられてしまいました。『育成した企業のことも思いなさい』と言われてしまいました」という言葉が出てきました。
私はベンチャーばかりを渡り歩いてきたキャリアなので非常に驚きましたが、いい意味でこれが終身雇用制度を核とする「身柄を引き受ける」タイプの伝統的日本企業の感覚なのでしょう。定年まで保障できる盤石な経営基盤がないと、ここまで責任感のある言葉は出ないと思います。少なくともIT企業でここまで言える企業はないのではないでしょうか。
昨今のスタートアップ、ベンチャー界隈を見ていると2つの流れがあるように思います。1つ目は大企業の背中を見ているために、意識的・無意識的に終身雇用を意識している企業です。複数の事業の柱を持ち、リスクヘッジを取っています。しかし実際に終身雇用が実現可能かどうかは別です。
2つ目は単一の事業を持ち、ゴールに向かって邁進していくプロジェクトのような企業です。複数の柱がないために廃業リスクもありますが、コアコンピタンスを抱えて突進しています。彼らの中で「お前の一生を面倒見てやるから来てくれ」という口説き文句を伝える企業は私の知る範囲ではありません。
いずれのキャリアを歩むにせよ、ITエンジニアにとって雇用保障に対する不安は永続的につきまとうのが現代と言えます。
現場の技術選定が古い、問題があるというのは当然ストレスとなりますが、逆にITエンジニア自身がそれらの技術を使いこなせていないというストレスもあります。
また、社内のIT環境もストレス要因となります。弱いインターネット対外線・無線LAN、無料枠で運用され続けるSlack、現役のオフラインExcelによるWBS、外部企業と繫がらないSaaS、怪しいライセンス管理……。ITリテラシーがあるITエンジニアからすると「こんなレベルのところで働き続けて大丈夫か?」と、ストレス要因に直結しやすいため、経営層は注意が必要です。
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