ITエンジニアが抱える理解されない特有の悩み ストレス要因を潰す余裕がなければ採用は困難
家庭の状況も、ITエンジニアにとってのストレス要因となります。核家族が一般的となったことで、子育てなどを夫婦だけで行う家庭では、保育園の送迎や通院といった時間の使い方について不満が出がちです。かつては同居している親に頼めていたポイントでしょう。
40歳を超えていると、親の介護問題を抱えるケースも多くなってくるため、会社としては配慮しておく必要があります。また、残業や収入について配偶者から問題提起された場合、なし崩し的に退職に繋がりやすいです。私が1on1などをする時は、今の仕事について家族が応援しているかどうかは常に気にするようにしています。
インターネットの登場、SNS、口コミにより他者との比較が容易になっています。最もわかりやすいのはInstagramです。旅行や外食などによるマウント合戦などはもはや一般的になっています。
最近では転職口コミサイトが流行しています。これらの口コミサイトは「他社の口コミを閲覧するために現職の口コミを残してください」という建付けが多いです。口コミは退職者や転職を意識した人が書くので、当該企業のヘイトの評価が溜まりやすい傾向にあります。
個人的な経験としては、同じ建物内に入居している他社との年収比較も、ITエンジニアに会社に留まってもらうにあたって、悩みの種となりました。同じ建物に入居しているにもかかわらず、「公開されている年収レンジが違いすぎるのでは?」と社員に疑われ始めると厄介です。
この世のどこにも理想郷などはなく、他者や他社との比較はきりがないのですが、それでも耳に入ってくるのが他者・他社情報です。「よそはよそ」と割り切るにはあまりにも甘い情報が多く、割り切って諦めるには定年までの年数が長すぎます。
何を許せて何を許せないのか、折り合いをつけながら、できるだけ長く働いてもらうというのが正社員のピープルマネジメントの要諦になっています。
ITエンジニアが思い描く労働に対する志向性もまた、多様化が進んでいます。人事や経営層としては、各人が何を悩んでいるかなどを定期的にヒアリングして把握し、可能なものについては配慮して叶えていかなければなりません。離職率を下げるために、ヒアリングに徹する1on1を通して、ここまで解説してきたストレス要因や志向性を探っていく必要があります。
このリソースを割けないのであれば、正社員ITエンジニアの採用を無理に選ばず、積極的に外注したほうが現実的です。
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