上野の「シャンシャン」初の引越しを追ってみた 都が22億かけて整備した「パンダのもり」に住む

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シャンシャンが引っ越したのは、東園パンダ舎で使ってきた空調機器が老朽化したため。冷房機能が低下したり、場合によっては、故障して冷房が使えなくなったりする恐れが出てきた。

上野動物園によると、現在の東園パンダ舎の空調機器は、1988年4月にこのパンダ舎を建設した時からずっと使われている。

だが、冷房が使えなくなってからでは遅い。パンダのふるさとは標高1300~3500mの山岳地帯なので、パンダは、寒さは平気だが、暑さは苦手だ。しかも今夏の東京は猛暑が予想される。上野動物園はリスクヘッジのため、空調機器を追加して、冷房機能を補強する工事に踏み切ることにした。

シャンシャンを飼育しながら工事をした場合、騒音などによるシャンシャンへの悪影響が予想される。そこで、シャンシャンを西園パンダ舎に一時的に移して、工事を進めることにしたのだ。

母親のシンシンにも配慮

シャンシャンが生まれた当時も、近くの工事を休止していた。上野動物園の正門を建て替える間、近くに仮設の表門を新設する工事だ。この時の工事休止も、シャンシャンと、シャンシャンを懸命に育てている母親のシンシンに配慮した対応だった。

パンダ舎など園内の施設の工事は、基本的に東京都が入札して発注する。だが今回の空調機器の設置は、東京都の指定管理者である公益財団法人東京動物園協会が随意契約で発注している。費用は、寄付金などによる「ジャイアントパンダ保護サポート基金」で賄う。

「ジャイアントパンダ保護サポート基金」の用途はさまざまだ。2020年度は例えば、西園パンダ舎屋外放飼場での洞穴の建設に1177万円、パンダの健康管理のための採血盤購入に22万円、体重計の購入に239万5360円などを充てた。建設された洞穴は日差しを避けられるので、リーリーが時々入って休んでいる。

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