上野の「シャンシャン」初の引越しを追ってみた 都が22億かけて整備した「パンダのもり」に住む

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シャンシャンの引っ越しは、上野動物園が休園日の7月4日に実行された。前述のようにパンダは暑さが苦手なので、シャンシャンの負担が最小限となるように、気温が低い時間を狙った。

まずはシャンシャンがケージに入る。事前に入る練習をしていたので、スムーズに入ることができた。体重102.6kg(6月25日測定)のシャンシャンが入った輸送箱は、パンダ柄のフォークリフトでトラックの荷台に積まれた。輸送箱の柵の部分は板で覆われ、シャンシャンは外が見えないようになっている。

トラックは園内をゆっくりと走り出した。上野動物園で生まれたシャンシャンにとって、東園パンダ舎から出るのも、車に乗るのも初めての経験だ。

東園と西園の間には公道があり、その上に「いそっぷ橋」が架かっている。西園は東園よりも標高が低いので、橋の先は急な坂を下る。

西園に到着して板(左)が外された。2022年7月4日。画像は動画からの切り出し(画像:公益財団法人東京動物園協会)

シャンシャンは無事、西園パンダ舎に到着した。輸送箱の扉を引き上げると、シャンシャンはすぐに出て、産室にすんなり入った。上野動物園によると、移動直後のシャンシャンは、慣れない施設に落ち着かないようすも見せたが、健康状態に変わりはないとのこと。その後は問題なく食事、睡眠をとっているそうだ。

フォークリフトで移動。シャンシャンは柵を手(前肢)でギュッと握っている。後ろを飼育係がついて歩く。2022年7月4日。画像は動画からの切り出し(画像:公益財団法人東京動物園協会)

筆者が見た限り、シャンシャンは東園にいた頃、屋内の台の上や、屋外のやぐらの上で寝ることが多く、床や地面の上で寝ることはほとんどなかった。西園の産室にも台があるので、そこで寝ているのかもしれない。

緑色の輸送箱から産室にすんなり入ったシャンシャン。2022年7月4日。画像は動画からの切り出し(画像:公益財団法人東京動物園協会)

 

シャンシャンの公開休止期間が変わる可能性も

シャンシャンは2022年7月5日~7月19日の間、公開休止となる。この期間ずっと工事をするわけではなく、シャンシャンが東園と西園を行き来して慣れる時間も踏まえている。今後の工事の状況とシャンシャンの様子によっては、この公開休止期間が変わる可能性もある。

一方、シンシンと双子は、抽選に当たった人とその同伴者だけが観覧できる。6月の抽選倍率は、土日が約10倍、平日が約3倍だった。リーリーは誰でも観覧できる。

近くにシャンシャンの母と弟妹がいる。2022年6月20日(筆者撮影)

西園パンダ舎は工事が遅れ、竣工は2020年夏になった。当初はリーリーとシンシンだけでなく、シャンシャンも西園に移る可能性があった。

だが、東京都と中国野生動物保護協会の協定に基づき、2020年12月31日までに繁殖のため中国に行くことになっていたので、4カ月ほどしかいられない。短期間での移動の連続は心身に負担がかかるとして、シャンシャンは東園に残ることになった。

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