論理がわかる人とまるでわからない人の決定的差 人間の非合理さを露呈させる簡単な論理学の問題

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それにしても、初歩的な論理規則さえ適用できないのに、なぜ人間は日々をやり過ごせているのだろうか? 

それは、一つには、ウェイソン選択課題が特殊なものだからである。この課題が人々に求めるのは、推論に三段論法を生かすこと(「このコインには王様の図柄があります。ではこのコインの裏には何の図柄があるでしょう?」)ではなく、一般的なルールの検証(「このルールはこの国のコインにも当てはまりますか?」)でもなく、目の前にある数個のコイン(あるいは数枚のカード)の一つ一つにルールが当てはまるかどうかを問うといういささか特殊なものだ。

人がもっと論理を働かせようとするルール

そしてもう一つ、対象が無作為に選ばれたシンボルやマークだからである。これが「生きるうえでなすべきこと、なすべきでないこと」にかかわるルールであれば、人はもっと論理を働かせようとする。

郵便局が第三種郵便物用に50セントの切手を、速達便用に10ドルの切手を販売しているとする。今回のルールは、「速達のラベルを貼った封筒には、10ドルの切手を貼らなければならない」である。だが封筒やラベルの大きさの関係で、ラベルと切手を封筒の同じ面には貼れないとしよう。ルールどおりの切手が貼られているかを確認するには、郵便局員は封筒を裏返してみなければならない。さて、ここに4枚の封筒がある。郵便局員はあなただ。あなたはどの封筒を裏返すべきだろうか?

今回も正解は〈P〉と〈Qでない〉、すなわち「速達」のラベルが貼られた封筒と、50セントの切手が貼られた封筒である。理屈のうえではコイン4枚の問題と同じなのに、この問題にはほとんどの人が正解する。つまり同じ論理的問題でも内容によって違いが出る。「PならばQ」という命題が、「利益を享受するならば、費用を負担しなければならない」といった特権と義務に関する契約の履行である場合、ルール違反(費用を負担せずに利益だけを得る)は不正行為にも等しい。

そして不正を見つける術ならば、人は直観的に知っていて、「利益を享受している人〈P〉」と「費用を負担していない人〈Qでない〉」を調べようとするわけだ。「利益を享受していない人〈Pでない〉」と「費用を負担している人〈Q〉」のなかにもほかのことでズルをしている人がいるかもしれないが、そちらには目を向けない。

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