ロシアに「バイデン政権の弱体化」は都合が良い訳 NATOのロシアへの対決姿勢明示は歴史的な転換

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松山キャスター:スウェーデンとフィンランドのNATO入りは、元々無理なウクライナ侵攻が招いた結果だと西側からは見えるが、そのことに関してロシア国内でプーチン大統領に対する批判は出ていないのか。

鶴岡氏:特に出ていない。ロシアはウクライナと北欧2カ国を全く異なる位置づけをしているためだ。ウクライナがNATOに入るのは、ロシアの一部を取られるという認識だが、北欧2国は外国であり、そこは致し方ないというところなのだと思う。

松山キャスター:今回のNATO首脳会議では中国について「体制上の挑戦」を突きつけている、とかなり厳しい表現を盛り込んだ。台湾有事の際、あるいは在日米軍基地が何らかの攻撃を受けた場合などにNATOが攻撃に参加する可能性はあるのか。

河野氏:台湾有事でNATOが集団的自衛権を行使する、軍事支援するというのは、NATOの枠組み上ないはずだ。ただ、今回のウクライナ侵攻のような厳しい経済制裁などのバックアップについては、戦略概念の文書が出たことで期待はできるし、中国をけん制するという意味では非常に大きい。

(画像:FNNプライムオンライン)

アメリカのウクライナ支援は世論次第

鶴岡氏:いまNATOにとってはロシア・ウクライナ戦争が焦点だが、そうした中でもインド太平洋の安全保障、中国に対する関心もしっかり持っているというメッセージにはなった。

木村氏:岸田首相は来年もNATOの理事会に出ると言い、何か日本がNATOの準加盟国のようになるというようなこと言っているが、NATOの原則は「第5条」だ。一加盟国に対する攻撃はNATO全体に対する攻撃であると。集団安全保障のグループだ。日本がこれに本当に関わっていくには、憲法9条が完全に壁になる。9条を改正しない限りは、NATOとの付き合いは中途半端なものになる。

松山キャスター:そのNATOの動きは当然、その中心国、米国の国内情勢の影響を受ける。木村さんは先ほど米中間選挙などの状況を考えるとウクライナへの関心はますます薄らいでいく可能性があると述べた。今後米国がこの地域に関与する度合いは、米国内世論によりかなり変わるということか。

木村氏:バイデン政権には今、プラスの要素はウクライナしかない。だから、ここはしっかりやっていくと思う。ただ、中間選挙で民主党が敗北すると足がかりがなくなってしまう。ガタガタガタと米国の対ウクライナ支援は崩れるのではないか。

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