東京マラソン、1人当たりコストはいくら? 花火大会に比べると経済効果は大きい

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また、参加者が費用を負担すべきとの「受益者負担」の方針を持つ湘南国際マラソンのように、自治体からの補助金を受けずに運営すれば、参加費は高くなってしまう。

もちろん都市マラソンでは、普段走れないコースをたくさんの仲間とともに走るという、唯一無二の体験ができる。また、前回の東京マラソンでは約160万人もの観客が集まったように、沿道からの大声援もある。定員を大きく上回る申し込みは、ランナーが金額以上の魅力を感じていることを示している。

海外からの応募者も増加

開催地域への経済効果も大きい。関西大学大学院の宮本勝浩教授が試算した東京マラソン(2013年開催)の経済効果は約270億円。「都市型マラソン大会は多くの参加者、観客が集まる一方、かかる費用は同規模の花火大会などに比べて少なく、費用対効果が大きい」(宮本教授)という。

また、東京マラソンはチャリティの集金も好調で、国内スポーツ大会で最大規模の3億円を集めている。海外からの参加者も増加傾向だ。今年の東京マラソンでは前回比33%増となる1万4600人の海外ランナーの申し込みがあった(参加は5000人の予定)。「日本語、英語に加え、今回から中国語、韓国語表記の救護・案内も一部導入する」(東京マラソン財団の手塚雅之事務局長)という。

地方都市でもマラソン大会が増えている。しかし、「宿泊施設が不十分など、インフラが未整備で参加者が集まらない大会も出てきている」(宮本教授)。それぞれの大会には、独自の魅力を提供することが求められている。

(「週刊東洋経済」2015年2月14日号<9日発売>「価格を読む」を転載)

島 大輔 『会社四季報プロ500』編集長

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しま だいすけ / Daisuke Shima

慶応義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程修了。総合電機メーカー、生活実用系出版社に勤務後、2006年に東洋経済新報社に入社。書籍編集部、『週刊東洋経済』編集部、会社四季報オンライン編集部を経て2017年10月から『会社四季報』編集部に所属。2021年4月より『会社四季報プロ500』編集長。

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