コロナ禍で行き詰まった人を再起「座間市」の凄み 困窮者支援で注目「ゆるくつながる」伴走型支援

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座間市生活援護課の朝礼風景(写真:Ricardo Mansho)
神奈川県座間市は人口13万人ほどの小自治体だが、今、困窮者支援の取り組みで注目を集めている。NPOなどの民間団体とタッグを組み、すでに困窮状態になっている住民だけでなくその予備軍にも救いの手を差し伸べている。座間市生活援護課は「どんな人も見捨てない」をモットーに、「命を守るサービス」を日々提供すべく奮闘しているのだ。気鋭のジャーナリスト・篠原匡氏の新刊『誰も断らない こちら神奈川県座間市生活援護課』を一部抜粋し、「型破り」な自治体に救いを求めた人々の物語を通し、福祉の新しい形を探る。
前回:『「野垂れ死のう」向かった座間市で予想外の顛末』

生活援護課の朝

生活援護課の朝は慌ただしい。

50人を超える課の職員が続々と出勤し始めるのは朝8時過ぎ。そのままロッカーにコートをしまいに行く者、座席で一息ついてコーヒーを飲む者、パソコンを開いて1日の予定を確認する者、鍵付きの部屋で管理している生活保護利用者のケースファイルを取り出す者など、8時30分の始業を前に、それぞれが思い思いの時間を過ごす。

始業前には朝礼がある。1月半ばのある日の朝礼では、課長の林から、前日の夜に亡くなった生活保護利用者の話があった。

「夜遅くに市役所に連絡があり、守衛さんから知らせを受けました。日々、生活保護の方々とやり取りしていると思いますが、改めてケースファイルを見返して、心配な人とは密に連絡を取っていきましょう」

生活保護利用者には高齢者が多く、定期的に連絡を取っていても、急に体調を崩すなどして亡くなる場合も少なくない。デイサービスなどの介護サービスを利用していればまだいいが、介護サービスを活用していない高齢者や家族との関係が切れている高齢者の場合は発見が遅れてしまう。そういう事態を防ぐために、ケースワーカーとしても注意していこう──という呼びかけである。

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