「おじさんTikToker」をバカにする人に欠けた視点 フラットな感性の「Z世代」との距離を縮める術

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一方で、ガラケーから入ったゆとり世代にとってmixiなどに代表されるSNSは、リアルな関係性の人と繋がる場所だった。そこではいじめも起こり、人間関係を陰湿にした。同じ携帯世代と言っても、その実態はかなり違うのです。

1977年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。現在は芝浦工業大学教授も務める。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。近著に『寡欲都市TOKYO 若者の地方移住と新しい地方創生 』(角川新書)、『Z 世代 若者はなぜインスタ・TikTok にハマるのか? 』(光文社新書)、『アフターコロナのニュービジネス大全 新しい生活様式×世界15カ国の先進事例』(共著、ディズカバー・トゥエンティワン)などがある(写真:本人提供)

もうひとつの特徴は、Z世代が、少子高齢化による人手不足にともなって、その人材的な希少価値が高まってくるなかで育ってきた、という時代的な背景です。

ゆとり世代のときは生まれた時から「失われた20年」の中でずっと生きてきたわけですが、 Z世代の中には、アベノミクスの影響を受けている時期を肌身で感じた層も少なくない。バイトをするにしても人手不足感はすごく高まっていたし、全国的にコンビニバイトの時給が高まっていくとか、有効求人倍率が高まっていくのを見てきたんです。

僕は20年にわたって若者研究をしていますが、ゆとり世代が高校生だった頃に「最近クラスで流行っていることは?」と尋ねて、「友達のお父さんがリストラになった」と聞いたことがありました。ゆとり世代が過ごした時代は、それぐらい暗いものだったんですよ。

Z世代マーケティングが重要な理由

―― 一般的に、成熟した社会では物は売りにくくなるとされます。実際、「若者の○○離れ」といった表現はあちこちで聞きますが、一方でZ世代の購買意欲は上がってきているそうですね。

僕自身のキャリアとしては、「さとり世代」という言葉を作ったこともあり、広告会社在籍時はさまざまな企業から問い合わせがありました。そのご縁で今もさまざまな企業のお仕事をさせていただいています。

しかし、会社としては非常に苦しい時期だったと思います。購買意欲が強い上の世代を知る分、コントラストも大きかったんです。

ところが、Z世代から一気に潮目が変わった。ゆとり世代と違って、消費意欲が強くなってきたと感じています。

もちろん車など高額な買い物をするわけではないですが、SNSなどを駆使して、 賢く消費する傾向が見えます。たとえば高級ブランドを買うにしても、メルカリでリセール価格が高いものを選ぶ。買った値段の6割で売れるなら、実際のところはそんなにお金がかかっているわけじゃない。そういう感覚で消費するようになったりしているんです。

ただ現状、少なくない日本企業は、若者マーケティングを捨ててしまっており、結果として、韓国に多くの市場を独占されてしまっています。たとえば、ファストファッションやコスメなどはその最たる例ですよね。

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