投資家が列をなす「空き家再生集団」のすごい手腕 日本全国で1570軒の空き家を生き返らせた

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次に大きく異なるのは空き家を購入して改装費を出すのは投資家であるという点。空き家活用では誰が費用を出すのかという点が大きな課題だが、全古協のやり方は明快だ。空き家を購入・改修して賃貸化し、きちんと収益が出るので買いたい投資家が集まってきやすい。誰が費用を出すのかという心配はないのだ。

具体的には全国の拠点で毎週末、「古家再生士」と呼ばれる工務店を中心としたスタッフが投資家相手に空き家・古家物件見学ツアーを行っている。1日で数件の改修中、完成済も含めた物件を見学、物件価格に加え、改修ポイントとその費用、地域の相場から算定される利回り等の説明を受け、その後、買いたい物件があれば手を挙げられる。買った後は古家再生士が改修を計画し、そのまま改修を依頼すれば当初予定どおりの費用、利回りで物件が手に入ることになる。

埼玉県内で開かれた空き家・古家物件見学ツアーの様子。全部で5件の物件を見学した(筆者撮影)

ただし、誰もが購入できるわけではなく、多くのツアーには参加資格がある。会員になり、さらに全古協がオンラインで行う古家再生投資プランナーの資格を取得することである。

簡単にいえば、会員にならなければ売ってもらえないということ。そこに怪しさを感じる人もいるだろう。だが、近年の不動産投資状況を勘案すると、これは投資家、賃貸市場にとって悪いことではない。

戸建てに投資したいがわからない人に向く

2014年頃から都心のこれまで投資対象となっていたアパート、マンションの値上がりが続いており、収益が落ちている。そのため、最近はそれまで一般的な投資対象として見られていなかった一戸建てに目を向け、安価に自分でDIYをして貸そうという人が増えている。

だが、知識がないまま、収益優先で耐震性能などの安全面を軽視したDIYが行われた住宅が市場に出回ることは住む人にとっても、何かあったときに最終的な責任を負うことになる所有者にとってもプラスではない。そこまで行かなくとも知識がないままに不動産投資を始めるのは危険でもある。

また、資格取得、空き家ツアーで仲間ができることは不動産投資仲間を作ることでもある。それが知識、ノウハウの共有、投資意欲につながるとすれば空き家解消には悪いことではない。

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