投資家が列をなす「空き家再生集団」のすごい手腕 日本全国で1570軒の空き家を生き返らせた

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そうした独自のやり方の結果が5年半で1570件という数字である。物件購入+改修で1000万円以下という地域も多く、利回りも高いところでは十数%。買うところから始まり、改修まで面倒を見てもらえ、仲間もできるとなれば3年で10軒、20軒と投資する人もでてくる。

2022年6月17日時点では8133人の会員、430人の古家再生投資プランナー、オンライン講座受講者が累計で2092人いるそうだ。賃貸ニーズのある地域でなければ成り立たない手法ではあるが、工務店、投資家の手で空き家の賃貸住宅化は確実に進んでいるのである。

「こんなところに人が住むわけない」地域が…

さらにこのやり方がこれまで賃貸ニーズがないと思われていた地域を変える例も出てきた。その1つが犀川河口右岸に位置する、かつて加賀藩の交易の中心となった港町・金沢市金石だ。金沢市の歴史ある町並みを保存するための「こまちなみ保存区域」に指定されており、特徴ある町家、旧回船問屋の建物などがある風情ある地域だ。

金石のこまちなみ保存区域メインストリート(筆者撮影)

だが、金沢駅からはバスで20分ほどと多少距離があり、それ以上に「こんなところに人が住むわけがない」と市中心部の人たちからも、地元からも言われることが多かったと2021年に金石にオフィスを構えた古家再生士の工藤真次氏は話す。

工藤氏はもともと東大阪で仕事をしていたが、金沢への移住を希望したクライアントがいたことで金沢とも縁ができた。物件や地元の工務店を探して仕事をするうちに、金沢でも古家再生をするようになり、ここ5年ほど金沢市中心部で町家中心に59軒手がけてきた。

そんな中、たまたま現在オフィスとして借りている取り壊し直前だった築150年ほどの古家に遭遇。一目惚れして購入し、本拠地とすることになった。それから1年、当初目標は金石地域で10軒の購入、再生だったが、実際には11軒を購入した。

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