『ツーリスト(The Tourist)』--観光客が日本を救う《宿輪純一のシネマ経済学》

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 政府の観光局によると、09年で世界で最も外国人観光客を集めたのは、フランスで、約7400万人が訪問している。上位10位までを続けると、米国約5500万人、スペイン約5200万人、中国約5100万人、イタリア約4300万人、英国約2800万人、トルコ約2600万人、ドイツ約2400万人、マレーシア約2400万人弱、メキシコ約2200万人と続く。日本は33位で約680万人となっている。
 
 政府目標では「訪日外国人を2020年初めまでに2500万人に」としているので約3.5倍の大幅な増加となる。メキシコ、マレーシア、ドイツを抜くレベルである。10年の数字は約860万人と1年間で180万人も増加し、このペースが守れれば目標が達成できる可能性もある。

同じく外国人旅行者の国内消費(08年)は、1.3兆円とされているので、これが約3倍になって、約4兆円の経済効果となり、約3兆円分の増加となる。これを政府試算では10兆円の経済効果と見込んでいる。
 
 10年の日本のGDPは約540兆円なので、経済効果として約1.9%の成長率となる。試算どおり、約3兆円の消費の増加で10兆円の経済効果を誘発でき、人数も順調に増えればよいのだが。また、来日している外国人観光客は、国別にみると韓国、中国、台湾、米国、香港、豪州、タイの順となっており、アジア諸国・地域が上位を占めている。


3月5日全国ロードショー
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

しゅくわ・じゅんいち
映画評論家・エコノミスト・早稲田大学非常勤講師・ボランティア公開講義「宿輪ゼミ」代表。1987年慶應義塾大学経済学部卒、富士銀行入行。シカゴなど海外勤務などを経て、98年UFJ(三和)銀行に移籍。企画部、UFJホールディングスなどに勤務。非常勤講師として、東京大学大学院、(中国)清華大大学院、上智大学、早稲田大学等で教鞭を執る。財務省・経産省・外務省等研究会委員を歴任。著書は、『ローマの休日とユーロの謎』(東洋経済新報社)、『通貨経済学入門』・『アジア金融システムの経済学』(以上、日本経済新聞出版社)他多数。公式サイト:http://www.shukuwa.jp/、Twitter:JUNICHISHUKUWA、facebook:junichishukuwa
※本稿の内容はすべて筆者個人の見解に基づくもので、所属する組織のものではありません。

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