インフレ容認かリセッションに追い込まれたFRB 過度の不確実性を助長し国際金融にも動揺走る

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米連邦公開市場委員会(FOMC)の15日の金融政策決定に向け、利上げ幅が0.5ポイントか0.75ポイントかという議論に市場の話題が集中したことは無理もない。だが、進行中の重大な問題は、より大局的だ。米国、そしてグローバル経済の利益ためにも、米連邦準備制度はインフレのストーリーの主導権を何としても取り戻す必要がある。

インフレ制御の主導権を失ったFRB

連邦準備制度は世界で最も強力な中央銀行と認められ、国際金融安定のアンカーの能力を長きにわたり高く評価されてきたが、過去1年インフレの主導権を握れない状態が続いたことで、信頼性に欠け、過度の金融ボラティリティーをうかつにも助長してしまう新興市場国・地域の中銀に酷似していると受け止められるようになった。

インフレのストーリーの主導権を取り戻すことは、連邦準備制度の政策の有効性と評判、政治的独立にとって極めて重要だ。これに要する時間が長くなればなるほど、米国の経済的繁栄と社会的公正への悪影響が増大し、他の国・地域への好ましくない波及効果も大きくなる。

より長期のインフレ期待は、連邦準備制度の2%の物価目標からさらに乖離(かいり)し、ミシガン大学の指標によると、今後5-10年では3.3%と数十年ぶりの高水準に達する。

米国の2年国債利回りに代表される連邦準備制度の影響力が最も大きい市場分野も、驚くほど大きく無秩序な変動にさらされており、国際金融市場の最も重要なセグメントの一つにとって、それは恐ろしい動きだ。

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