インフレ容認かリセッションに追い込まれたFRB 過度の不確実性を助長し国際金融にも動揺走る

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市場に過度の不確実性を生じさせた

連邦準備制度は数週間前の段階で、2回の0.5ポイント利上げを示唆し、市場は金利引き締めサイクルの9月休止を当初想定した。しかし、0.75ポイントの利上げが直ちに決定され、ターミナルレート(利上げの最終到達点)は連邦準備制度が言及した水準を優に上回るという観測がその考えにしっかり取って代わった。

それに伴いさらに過度な市場のボラティリティーが生じ、「最良」の政策対応から連邦準備制度は一層遠ざかり、リセッション(景気後退)リスクという犠牲を払ってもインフレに対抗するため政策ブレーキを利かせるか、もっとやんわりブレーキを踏み2023年も高インフレが持続する危険を冒すか、逃げ場のない政策ジレンマが深まった。

中央銀行が絶えずインフレの動きの後手に回り、有効な政策オプションを使い果たし、その過程で経済と市場の不安定さを増大させるというイメージは、制度の信頼性と成熟を欠く新興国・地域では珍しくなかろう。だが、国際金融システムの中心に位置する中銀では非常にまれであり、とりわけ痛ましい。

これほど長期にわたり繰り返しインフレ動向を読み違えた原因分析と、いかに予測能力を改善させたかについて、連邦準備制度には情報共有がまず求められる。さもなければインフレを管理していると市場を納得させることは今後も難しく、インフレ期待は一段と制御不能になるだろう。

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