「会社にどっぷり浸かる人」が確実に失うもの 主体的に行動する「キャリア自律」が必要だ

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ここで、伝統的なキャリアとプロティアン・キャリアの違いを理解しておきましょう。

転換期を迎える働き方

これまでの伝統的なキャリアの考え方は、「キャリアは組織に預けるものであり、キャリアの所有者は組織」であったわけです。

そうであるので、伝統的なキャリア観を持ち続けていたり、組織内での昇進や昇格がキャリア形成の支柱であると考えているのであれば、「キャリア自律は不要だ」と感じるのでしょう。

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しかし、1つの組織にとらわれずに、副業・兼業・転職のように、多様な働き方をするビジネスパーソンが増えてきました。

働き方は、今、転換期を迎えているのです。その変化にあわせて、私たちのキャリア観もバージョンアップしていかなければなりません。

この組織から個人への働き方の転換後のキャリア形成をサポートしていくのが「プロティアン・キャリア」になります。「プロティアン・キャリア」では、自らキャリアをデザインしていくことを前提とします。そのとき、キャリアの所有者は、個人です。

個人の視点から、これからの働き方や生き方を構想していく。副業するのか、転職するのか、今のまま仕事を続けていくのか。役職定年後はどうするのか。企業の寿命より私たちのキャリアのほうが長くなった今、さまざまな局面で自らのキャリアをハンドリングしていくことが不可欠なのです。

今いる組織に不満がある場合にも、あなた自身がなんらかの行動をするしか突破口はないのです。

自ら決めるのです。そうであるからこそ、「キャリア自律」は必要なのです。

田中 研之輔 法政大学キャリアデザイン学部教授/一般社団法人プロティアン・キャリア協会代表理事

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たなか けんのすけ / Kennosuke Tanaka

法政大学キャリアデザイン学部教授。UC.Berkeley元客員研究員、メルボルン大学元客員研究員、日本学術振興会特別研究員(SPD:東京大学 PD:一橋大学)。一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。博士(社会学)。専門はキャリア論、組織論。社外取締役・社外願問を31社歴任。個人投資家。ソフトバンクアカデミア外部一期生。専門社会調査士。プログラム開発・新規事業開発を得意とする。著書に『プロティアン』(日経BP)など。企業研修やセミナー登壇は200社を超え、受講者は10万人を超える。

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