「会社にどっぷり浸かる人」が確実に失うもの 主体的に行動する「キャリア自律」が必要だ
「キャリア自律」とは、ビジネスパーソンである個々人が、自分自身の働き方やこれからの生き方について向き合い、自ら主体的に行動していくことです。
では、キャリア自律の定義ができたところで質問です。
キャリア自律は必要でしょうか?
私は必要であると考えています。なぜか。
「キャリア自律は不要だ」とするなら、自ら主体的に働く必要はなく、所属する組織にキャリアを預けておけばいいと考えることになります。それでいいのでしょうか?
例えば、大学を卒業して入社した組織から違う組織へと移っていきます。1つの企業のなかで昇進や昇給によって上昇していくという直線的なキャリアにはあてはまらない経路をたどる人も、最近は多くみられるようになりました。
転職してうまくいく場合、うまくいかない場合。1つの組織で働き続けるとしても、思いどおりにいかずに、昇進できなかったり、会社の事業が芳しくなく減給されたりすることも大いにありうるのです。
つまり、今の働き方にフィットするのは直線的なキャリアモデルではありません。棒高跳びの棒のように、ぐっと力をため込んであるときに、その「ため」から力を放出していくようなキャリアモデルが必要なのです。
このように考えると、1つの組織のなかで、昇進や昇格という客観的な評価を受けなくても、そのときは、キャリア形成の「ため」だと捉えることができます。その点で、「キャリア=職業経験」と狭義に捉えているわけではなく、職業経験のほかにもさまざまなライフイベントなども含んだ時間的な経過、個々人の歴史性を含む、広義の意味で、「キャリア」という言葉を捉えていく必要があるのです。
個人と組織のよりよき関係性を
そもそも、キャリアは、ほかの人と比べるための考え方ではありません。
「ほかを出し抜いて自分だけ、昇進してやろう」そんなふうにキャリアを捉えている人は、本書をきっかけにして、キャリアという捉え方を改めてほしいと思うのです。
キャリアとは、これまで歩んできた自分を見つめ、これから歩む自分を思い描く、働き方と生き方をつなぐ「人生そのもの」です。しかし、ややもすると、ビジネスシーンでの成功こそが、人生の成功であるかのような風潮すらあります。キャリアとは、人生そのもの。その人生を自らの手でより豊かなものにしていくのです。
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