NASAも着手「UFO研究」にアメリカが真剣になる訳 国防総省に続く、NASAの取り組みの目的とは

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ペンタゴンは2021年、UAP問題を調査する新たなタスクフォースを結成すると発表した。議会の指示でまとめられた報告書により、UFO目撃事案の多くでデータが不足していたことが明らかになったためだ。

5月に開かれた下院小委員会の公聴会では、円形状の物体が高速で戦闘機の横を飛び去るなど、説明のつかない現象に関する軍の報告についてペンタゴンの当局者が証言を行っている。ペンタゴンの当局者は、これらの現象が地球外生命体と関連していることを示す証拠はないと語った。

NASAの研究はペンタゴンの調査とは独立して行われ、天体物理学者デヴィッド・スパーゲルが率いることになる。スパーゲルは現在、数学・科学の基礎研究に助成を行うサイモンズ財団(本部ニューヨーク)のトップを務めている。NASAの研究に参加するその他の科学者の選定はこれからだ。

中ロの「未確認先進技術」も調査対象

NASAの研究では、自然現象のほか、ロシア、中国などが開発した未知の先進技術といったように、地球外生命体以外の仮説にも検討が加えられる。「率直に言って、まだ発見されていない新たな科学的知見があると思う」と、ザブーケンは語る。

ザブーケンは、9カ月の予定で行われる研究の完了時点で決定的な答えが見つかるとは考えていない。ただ、既存のデータをどう整理し、ほかに収集すべきデータを吟味する作業では前進が期待できるという。

「これは、今後実施する研究プログラムに役立てるためのものだ」。UFOの研究は「本物の科学ではない」と考える科学者は多いかもしれないが、物議を醸す疑問に挑戦するのは重要だとザブーケンは話した。

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