沈黙の引退、国鉄形「EF66」はなぜ人気があるのか 流線型の貨物用電気機関車、ブルトレでも活躍

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貨物用だったEF66だが、1985年に「ブルートレイン」こと寝台特急の牽引に抜擢され、旅客列車に進出して当時のファンを驚かせた。当時、東京から九州方面に数多くの寝台特急が運転されていたが、このうち西鹿児島(現在の鹿児島中央)行きの「はやぶさ」でロビーカーという車両が新たに連結された。当時の寝台特急には寝台車と食堂車が連結されていたのだが、東京から九州までの乗車時間が20時間近くもある中、寝台以外にいられる場所がなかった。寝台特急のサービス水準を向上させるべく、定員外のフリースペースとしてロビーカーは新たに連結されたのだった。

これにより、「はやぶさ」は機関車を含めて16両という長い列車になったのだが、ロビーカーを連結した分だけ列車が重くなってしまった。列車が重くなってもスピードを維持するべく、出力のあるEF66を寝台特急に抜擢したというわけだ。

「はやぶさ」だけEF66にすると効率が悪いので、長崎・佐世保行き(当時)の「さくら」、長崎・熊本行きの「みずほ」、大分行きの「富士」、博多行きの「あさかぜ」も併せてEF66の牽引に改めている。

JR発足以降の活用は?

JR発足に際し、EF66は寝台特急の牽引用として16両が、貨物列車の牽引用としてJR貨物に40両が引き継がれた。だが、JR化後は寝台特急が次々と廃止され、1994年に「みずほ」が廃止されたのをはじめ、2005年には「あさかぜ」「さくら」が、2009年には「富士」「はやぶさ」が廃止されて九州方面の寝台特急が消滅している。

寝台特急では東京発着のほか、関西発着の寝台特急でもEF66が使用された。2000年から長崎行きの「あかつき」と大分行きの「彗星」で、2005年には「彗星」の廃止に前後して熊本行き(当時)の「なは」も牽引している。「富士」「はやぶさ」とともに、九州方面へ向かう寝台特急は末期になると編成が短くなっていて、EF66が必須とされておらず、ほかの機関車が牽引することもあった。ロビーカーが連結された頃とは事情が違い、機関車の運用、やり繰りの都合でEF66が使用されたと言っていいだろう。

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