岸田首相は賃上げと株主還元のどちらが先なのか 「新しい資本主義」と「資産所得倍増」は相性が悪い

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そもそも「資産所得倍増計画」においては「貯蓄」とは何なのか、「投資」とは何なのか、という定義も釈然としない状況だが、おそらく「預貯金」から「株式などリスク資産」という意味で「貯蓄から投資へ」を使っているのだろうとすると、急に「貯蓄」が増えてしまえば、「株式などリスク資産」の比率はなかなか増やせない。

実際に、家計の株式等の保有額は減っているわけではない。したがって、家計は株式等を減らしていたり、投資に対して後ろ向きになっているという感覚はないだろう。むしろ強制貯蓄は今後の物価高で取り崩されるバッファーと考えているかもしれない。「貯蓄から投資へ」と言われてもピンとこない面もあるだろう。

「資産所得倍増」と「賃上げ」の相性は悪い

今回の「貯蓄から投資へ」は「資産所得倍増プラン」と同時に進められることから、事態は一段と複雑である。例えば、「資産所得倍増」には株式投資における配当収益が含まれると予想されるため、企業の株主還元の姿勢が重要となる。

しかし、一方で企業は「分配」の観点で政府から「賃上げ要請」を受けている。企業は「賃上げ」と「株主還元」のどちらを優先すべきか悩んでしまう状況だ。政府は早急にこれらの優先順位をつけなければ、中途半端になってしまう。

この点については、原氏は「資産所得倍増の前に分配政策を」という主張で一貫している。今後、岸田政権がどちらを重視していくかが注目される。本年末までに総合的な「資産所得倍増プラン」の詳細を策定するという。

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