参院選圧勝がすでに前提化、自民「夜会合」活況の訳 選挙後見据えた実力者たちの主導権争い本格化

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もともと両氏はほぼ毎月、密かに側近を交えたゴルフに興じており、あえて6日の密談を表沙汰にしたのは「2人が組むことで、政権運営への影響力を高める狙い」(麻生派幹部)であることは間違いない。

しかも両氏は、ここにきて菅氏も交えての懇親の場を持ち、安倍政権時代の安倍・麻生・菅という「3本柱」の連携を党内に見せつけている。安倍氏は二階元幹事長とも派閥幹部同席のうえで懇親の場を設定し、参院選自民勝利に向けた連携強化を確認するなど、自らの影響力や存在感の維持・拡大に余念がない。

こうして、岸田、麻生、安倍3氏が、それぞれ組み合わせを変えての「クロス会合」を展開しているのは、互いの立場や思惑が微妙に異なり、それが党内の権力闘争につながっているとの共通認識が背景にあるからだ。

「岸田1強」前提に、影響力維持狙う麻生、安倍両氏

そうした中、岸田首相があえて公然と二階氏らを接待したのは、「敵も取り込んで党内融和を演出することで、政権運営を安定させる目的」(官邸筋)。もっと踏み込んで言えば、「動き回る安倍氏への牽制」(同)だ。

これに対し安倍氏が、二階、菅両氏と連携を党内に見せつけるのは、「岸田首相が参院選に圧勝しても、自らの影響力を維持する狙い」(安倍派幹部)があるのは明白。首相周辺は「参院選後の岸田1強を警戒し、非主流派との連携で対抗しようとしている」と苦笑する。

一方で、麻生氏の菅氏への接近も、「安倍氏と同様に、自らの影響力維持・拡大が目的」(岸田派幹部)とみられている。首相の後見役を自任する麻生氏にとって「菅氏は目障りな存在」(側近)であることは否定しようがない。だからこそ、菅氏との懇親は「岸田1強への牽制」(周辺)との見方が広がるのだ。

野党は8日夕刻に細田議長と岸田内閣の不信任決議案を衆院に提出した。ただ、このダブル不信任案には、維新や国民民主の協力が得られず、野党分断を露呈させただけ。与党は9日午後の衆院本会議で淡々と否決して、立憲民主の最後の抵抗も挫折した。

岸田首相は10日から外遊するため、最後に残されたこども家庭庁設置法は、会期末の15日に成立させることで、与野党が合意した。ただ、ダブル不信任案否決で、事実上、通常国会の与野党攻防は終わり、与野党はすでに終盤戦となっている7・10参院選に全力を傾注することになる。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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