また、資格を保有していないことを不安要因に挙げていますが、30代の転職においては、資格があったからといって転職確率が上がることはありません。資格がないことを悩む必要はありません。
それよりも中川さんは14年間の勤務中にディレクターというポジションになっていることから、むしろこの実績のほうがよほど魅力的なアピールポイントになります。ディレクターというポジション自体がどうのこうの、ということではなく、在籍されている期間にきちんと管理職に昇進している事実が重要、ということです。
マニュアル作成には多くのニーズ
それでは、今までされてきた経験が、どの程度、外の業界で通用するかということですが、中川さんご本人は「マニュアル作成という限定された業務」と書かれておりますが、まずご認識いただきたいのは、およそ多くのサラリーマンにとって経験した業務が限定されている、という状況はどんな部門にも当てはまります。したがって、複数の職種の経験がないということ自体は、決してマイナスではありません。
何かの業務に特化してきたならば、その分野における実績があるか否かと、ほかの会社や業界で応用力を持って勝負できるか、つまりは中川さんご自身の持っているスキルがどの程度のものか、そしてその経験してきた業務がほかの業界や会社においても横展開できるか否か(ニーズがあるか)ということだと思います。
マニュアル作成という業務は、確かに一見、平凡にみえます。なぜ平凡にみえるのかといえば、どんな会社にもマニュアルやそれに類似するものが存在するからです。裏を返せば、確実に多くのニーズが世の中に存在するということです。ただし、それをもって転職にまでつなげられるか否かは、後述するとおり中川さんのお持ちの付加価値によるところが多いのかと思われます。
半導体や精密機械など、非常に細かい業務マニュアルを作成してきた経験は、派手さは決してないかもしれませんが、世の中におけるニーズは大きそうです。
以下、いくつかの切り口で、その付加価値について考えていきましょう。
まずマニュアルそのものですが、そもそも業務のマニュアル化ができていない会社もあるでしょうし、そうでなくとも国内外に複数の工場や生産拠点を抱えているような場合、国内と海外の品質管理や均一化をどう進めていくかということで、国内外のマニュアルの改善と作成を図ろうとする会社もあります。
そういった一般的な話に加えて、極端な例で恐縮ですが、街の中小企業では現在の中心戦力である職人肌の方たちの年齢が上がっていくにつれて、その方たちのスキルをいかに次世代に伝えるかが死活問題になっている会社が多数あります。やはりここでは業務や暗黙知のマニュアル化が求められている領域です。
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