2020年度のJR東日本の統計によると、鶯谷駅の1日平均乗車人員は1万7913人。山手線の駅として、これは高輪ゲートウェイの6785人に次いで少ない数字だが、あちらはまだ再開発途上の土地に駅だけ先行して開業したところである。事実上、鶯谷が山手線でいちばん、乗車が少ない駅と言ってよい。
乗降の少なさには、駅の西側の大半が上野恩賜公園および寛永寺の霊園。東側には歩いて10分もかからないところに東京メトロ日比谷線入谷駅があり、JR上野駅ですら、15分ほどで入谷口まで行けるという立地が関わっている。もともと駅勢圏が狭く、周辺の住民も多くはなく、地元の人でさえ目的地によって駅を使い分けているであろうがためだ。
開業は東京駅より古い
さらに詳しく見ると、鶯谷駅は、乗車人員のうち定期券客と定期券外客の比率が、ほぼ半々になっている。観光地でもない限り、ふつうは定期券客のほうが定期券外客よりずっと多くなるもの。例えば山手線で3番目に乗車人員が少ない目白駅は、定期券客約1万3000人に対し定期券外客約8300人である。鶯谷が最寄りになる高校、大学や事業所が少ないことを表していると考えられる数字だ。
鶯谷駅の開業は1912年7月11日で、今年で110周年を迎える。東京駅より古く、1909年の上野―新宿―品川―烏森(現在の新橋)間の電化完成を受け、電車専用(東北本線などの長距離列車は停車しない)駅として設けられた。ほぼ同時期に増設された駅としては、高田馬場、五反田、新大久保などがある。
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