50歳から「仕事が楽しい人」と「楽しくない人」の差 「年をとると、仕事がない」と思っていますか?
たとえるなら、20歳そこそこで選んだ服を、一生着ているようなもの。なかには、それが一生ものになっていく幸運な人もいますが、「だんだん合わなくなってきた」「ほかにも選択肢があるんじゃないか」と疑問を抱くのも当然ではないでしょうか。
仕事というのは偶然のめぐり合わせのようなもので、やってみないことにはわからない。向き不向きや、時代に合っているのか、やり続けられるか、年齢とともに変わってくることもあります。
結果や報酬より、充足感にシフトする
生活のために会社を辞められなかった人も、50歳以降、昔からやりたかった仕事に挑戦してみたり、これまでの仕事経験を土台に独立したり、まったく新しい環境で始めたりすることもできるのです。
私がよく行くブックカフェのご夫婦は、60代で移住して店を開きました。夫は元編集者、妻はいまも短大で古典を教えていて、夫婦のもとには、子どもから90代の方まで多くの人がやってきます。ご夫婦と本の話をするのが楽しくてたまらないし、その明るく元気な姿に刺激をもらえるのです。
子どもが独立したあと、その前身である会員制の文学サロンを開こうとしたのは妻のほうでした。「夫に反対されたら、離婚してでも1人でやるつもりだった。結局、夫も会社を辞めて一緒にやることになったの」と妻。いまでは夫がデザートをつくったり、講座やイベントを主催したりして、じつに伸び伸びと楽しそうに仕事をしているのです。
このように、これまでやってきたことを武器に、形を変えていくこともできます。50歳からは未来に「どれだけの結果や報酬が得られるか」より、いま「どれだけ充足した時間や心の満足が得られるか」のほうが大事になってきます。
40代50代で、会社に勤めているのであれば、会社にいるうちに、近い将来の定年後に別の仕事をすることも見据えて、「やりたいこと」「やれること」を見つけておいたほうがいいでしょう。「辞めても、この道がある」「いつかこんな仕事をしたい」などいくつかの選択肢をもっておくだけでも心強いものです。
ほんとうの安定とは、変わらないことではなく、変化しながら、柔軟にバランスを保つこと。自分の気持ちや状態も、まわりの環境も、移り変わっていくものですから。
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