小林薫×阪本順治「リスクしかない仕事をする訳」 清廉潔白だけではない人生を生きて思うこと

拡大
縮小
写真左より阪本順治監督、俳優の小林薫さん(撮影:梅谷秀司)
『深夜食堂』シリーズや『ナニワ金融道』シリーズなど数多の代表作がある名優、小林薫さんと、吉永小百合さん主演の『北のカナリアたち』など名作を生んできた阪本順治監督。2人が初めて組んだのが、映画『冬薔薇(ふゆそうび)』だ。
小林薫さんは、主演の伊藤健太郎さん演じる渡口淳の父親、義一を演じている。前編記事に続くこの後編では、本作にちなんでお二人の家族関係などをうかがった。
前編記事:小林薫×阪本順治「天狗だった30、40代を越えて」
この記事の画像を見る(11枚)

犯した過ちがいつか許容される社会になっているか

――小林さんは、主演の伊藤健太郎さん演じる淳の父親、義一の役です。伊藤さんは阪本監督と初めて2人きりで打ち合わせをしたときに、「今の自分と仕事をしてもリスクしかないと思うんですが」と語っていたそうです。小林さんがオファーをいただいたときの感想は。

小林薫(以下、小林):この作品にキャスティングされたことは、おもしろいと感じました。同業者などが叩かれているのを見ていて、人生で何か過ちをおかしたときに、いつかは許容される社会ではないと生きるのがキツイと思っていたんです。自分にもいつか、そんなお鉢が回ってくるかもしれませんし。

30代、40代の頃、失敗ばかりしてきましたが、どこかで許された。許されてはいないのかもしれませんが、許容されてきたわけです。

もちろん、反省はしなければなりません。当然ですが、一方で今のような世の中は、はたして住みやすいのか、生きやすいのか。考えていたときのオファーだったので、そのキャスティングに心惹かれました。

©2022「冬薔薇(ふゆそうび)」FILM PARTNERS

――たしかに、清廉潔白のみの人生を送ってきたか? と問われたら、胸を張って「はい」と答えられる人は、そう多くはないかと。

小林:この映画をご覧になってもわかると思います。伊藤くんが演じた淳や、僕が演じた義一の生き様を観れば、ね。

『冬薔薇』に出てくる登場人物も、「自分の人生はまったくうまくいっていない。現実では何もいいことがない。なぜ自分ばかりがこんな目に遭うのか。アイツは許されているのに」と考え詰めたりするわけです。

次ページ脚本家と阪本監督の脚本の違い
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
【資生堂の研究者】ファンデーションの研究開発の現場に密着
【資生堂の研究者】ファンデーションの研究開発の現場に密着
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT