いじめを文集に書いた息子が学校に受けた仕打ち 親子で大丈夫と思えるためにすべきこと
不登校になって何年か経ち、殴る・蹴るなどの暴力以外にも、命に関わるいじめを受けていた事実を初めて聞きました。登下校の際、歩道を歩いている息子を車が来るのを見計らって車道に突き飛ばす、教室がある3階の窓から突き落とそうとする、というものでした。
小学6年生のときに、修学旅行の際の出来事を息子が文集に書きました。読んだ保護者数名から「これはいじめでは?」という問い合わせが学校にあったのです。文集は回収され、担任教師は「事実じゃないから、書き直せ」と言ってきました。しかし、息子は「事実だから書き直しは嫌だ」と、頑として譲りませんでした。私も学校へ呼び出されて「書き直すよう説得してほしい」と言われましたが、当然断りました。
その後、どうなったかというと、担任が息子の文を編集して、新しい文集を配り直したんです。先生が勝手に子どもの文をカットしてつぎはぎするなんて、なんてとんでもないことをするのかと思いました。これが大きなきっかけとなり、息子はいっさい小学校へ行かなくなりました。
中学でもいじめの事実は認めず
――中学校はどうされたのでしょうか?
加害者たちと同じ学校に進学したら、いじめがエスカレートすることは目に見えていました。それを避けるため、成績がよかったこともあり、私立の中高一貫校へ進学しました。しかし、そこでもいじめがありました。中学1年生の体験学習の際にはカヌーから突き落とされたことがありました。救命胴衣はつけていたそうですが、息子は泳げなかったので怖かったと思います。
何より、学校の対応はひどいものでした。「命に関わるいじめを受けている」と私が伝えても、学校はその事実をまったく認めませんでした。「いじめが起こること自体は防げなくても、あったことをなかったことにしないで」「子どもが大人への信頼を失うから、嘘だけはつかないで」と、何度お願いしても届かなかったんです。その後の話し合いも、教員どうしのかばい合いでらちが明かず、「いじめはない」の一点張りでした。
息子はその後、高校へ進学せず、現在は家業のみかん農家を手伝っています。体力仕事もこなし、料理も得意で、「肉じゃがはお母さんがつくるものよりおいしい」と家族のなかでも評判です。基本は家にいますが、用事があれば出かけますし、一時期あった強迫性障害も今は落ち着き、穏やかにすごしています。そう考えると、ひきこもりってなんなのだろうと思いますね。家で仕事をしている人も、みなひきこもりなのだろうか、と。
――娘さんの不登校は?
小学校4年生のときに、行ったり行かなかったりと「さみだれ登校」が始まりました。息子のときの反省もあって、無理やり学校へ行かせるようなことはしませんでした。中学校は部活のみ登校し、高校は入学したものの、「中身がなさすぎる」と言い、1年で辞めました。現在は、子ども支援の活動をしているNPOの事務局で正社員として働いています。