住民しか知らない謎の鉄道「山万」車両基地の内部 人口1.8万人のニュータウン、4kmを14分で1周

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コミュニティバスはユーカリが丘線を取り巻くように複数の系統を開業。住民を最寄り駅に運ぶだけでなく、ユーカリが丘駅やイオンタウンなどの商業施設にも乗り入れ、福祉施設や病院などを網の目のように運行する。ユーカリが丘線の定期券があればバスにも乗車できる。鉄道の利用者は減っても、バス開業によって住民の利便性は格段に高まっている。

ユーカリが丘線を補完するコミュニティバス。こちらもコアラをあしらっている(記者撮影)

一方で鉄道の設備投資は控えめのように見える。3つの編成は1980年から1982年にかけて製造され、ほぼ40年使っていることになる。最近登場したAGTは自動運転で走るものが多い。だが、「こあら号に自動運転に対応した設備は一切積んでいないし、自動運転の計画もない」という。そういえば、自動改札機もPASMO(パスモ)などの交通系ICカードには対応していない。

ICカードをスキップして「顔認証」へ?

「新しい取り組みは導入しないのか」と尋ねたら、「昨年9月から顔認証による乗車実証実験を始めた」という。バスでは同様の取り組みを昨年5月から始めている。交通系ICカードを飛び越し、新しい改札システムに切り替える可能性はありそうだ。

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車両基地を見学し、12時半にツアーは終了。現地解散となった。車両基地のすぐそばに駅がある。やってきた列車はユーカリが丘駅とは逆方向に向かうが、1周14分なので気にはならない。

ユーカリが丘駅から京成に乗り換えて都心に向かう住民は多い。佐倉市の人口が減少傾向にある中、人口が増え続けるユーカリが丘は京成にとってもありがたい存在だ。京成と山万の間に資本的なつながりはないが、ユーカリが丘の住民の交通を担うという点では両者は運命共同体だ。今後は鉄道ファン向けに限らず、住民の利便性向上に向けたコラボ施策が打ち出されてもよいだろう。

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大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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