住民しか知らない謎の鉄道「山万」車両基地の内部 人口1.8万人のニュータウン、4kmを14分で1周

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5月21日9時07分、ツアー参加者を乗せたターボくんが京成上野駅を出発した。列車は「ターボ」の名に恥じない加速で走行、途中駅を通過しながらおよそ40分後にユーカリが丘駅に到着した。ここから山万のユーカリが丘駅に移動した。

今回のツアーのヘッドマークを付けた京成の3600形「ターボくん」(記者撮影)
駅に進入する「こあら1号」。山万ユーカリが丘線は民間初の新交通システムだ(記者撮影)

駅のホームから鉄のレールは見えない。1982年に開業したユーカリが丘線は民間では国内初の新交通システム(AGT)を採用する。小型で軽量の車両が専用軌道上のガイドウェイに沿って鉄輪ではなく、ゴムタイヤで走行する。

まもなく、ツアー列車の「こあら1号」がやってきた。3両編成で1両あたりの長さは8m。通勤車両の半分程度の長さしかない。車体幅は2.5m、車体の高さは3.3mで一般的な車両よりも一回り小さい。そのせいか、車内に荷物棚がなかった。

列車は3編成、運転士は16人

ツアー客を乗せて列車が動き出した。ユーカリが丘線は単線で、テニスのラケットのような形で1周して再びユーカリが丘に戻ってくる。路線距離はわずか4.1km。起点から終点までの所要時間はわずか14分だ。

1周したあと、列車は再び動き出し、引き込み線を通って車両基地に向かった。ユーカリが丘線の車両はこあら1〜3号の3編成だけなので、車両基地もコンパクトだ。

「こあら1号」を使った出庫点検の実演(記者撮影)

係員の案内に従い、検修庫に移動すると、内部にはこあら2号が留置されていた。ツアー参加者は係員が説明する車両検査の手順に食い入るような面持ちで聞き入っていた。検修庫の外では、先ほどまで乗っていたこあら1号を使った出庫点検の実演が行われていた。

列車は3編成。では運転士は何人いるのだろうか。山万によると、鉄道とバスにかかわるスタッフは約30人で、そのうちの半数が運転士の資格を持っているという。人数が多いのは緊急事態に備えるため。普段は保守作業などほかの業務と兼務している。「小さい会社なので1人で何役もこなします」。運転技術を維持するため、最低でも月1回は運転するという。

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