「出世を目指さない人」の仕事人生はこう変わる 「Web3」で組織に縛られない世界がやってくる

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DAOによってガバナンスが変わることは確実ですが、DAOをより良い世界の実現につなげるためには、こうした課題とひとつひとつ向き合い、解決していく必要があります。僕自身、いろいろと実験をしながら様子を見ているところです。

働き方は、勤め先に縛られなくなる

近年、エンジニアなどの専門職では、フリーランスとして複数の会社の仕事を受注するという働き方を選択する人が増えています。DAOが広がると、それがもっと幅広い職種で起こるようになるでしょう。

まだロールモデルがいない新しい働き方が、DAOというコミュニティーから生まれてくる。「こんな働き方があったんだな」という、働き方のイノベーションが、web3のなかで多々起こっていくと思います。

すでに説明してきたように、DAOはプロジェクト単位で立ち上げられるものです。そしてプロジェクトを実際に動かしていくにはさまざまな役割が必要であり、それは、何もエンジニア等の専門職とは限りません。「自分には手に職がないから無理」「腕1本でやっていける人しか働けないのがDAOだ」なんて思ったかもしれませんが、本当は誰もがDAOに参加し、貢献できる「何か」を持っているはずなのです。

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DAOに参加するというのは、「この魅力的なプロジェクトで、何か自分に手伝えることはないだろうか」と役割を探しに行くような感じです。

自分から「これ、やります」と手を挙げられるようになっているので、嫌いなことや苦手なことを割り振られることはありません。タスク単位で働いてトークンを受け取ることもできますし、場合によっては、もっと深くコミットするミドル〜コアコントリビューターとして、定額のトークンを給料のように受け取る場合もあります。

DAOでは、このように多様な働き方が可能であり、自分が望むかたちで、自分が望む時間だけ参加できる。これは、働く主体としての自分を、組織から自分の元へと取り戻すことを意味するといっていいでしょう。自分の仕事や働き方は、組織に決められるのではなく、自分で決めるということです。

組織で出世し、現場から管理職に移りたい人は別ですが、何かを生み出すことに関わっているという手応えを感じ続けたい人にとっては、DAOに参加するというweb3的な働き方は理想的ではないでしょうか。

伊藤 穰一 デジタルガレージ 取締役 共同創業者 チーフアーキテクト・千葉工業大学 変革センター長

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いとう じょういち / Joichi Ito

デジタルアーキテクト、ベンチャーキャピタリスト、起業家、作家、学者として主に社会とテクノロジーの変革に取り組む。アメリカマサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボの所長を務め、2015年のデジタル通貨イニシアチブ(DCI)の設立を主導。また、非営利団体クリエイティブ・コモンズの取締役会長兼最高経営責任者も務めた。「Earthshot 世界を変えるテクノロジー」の番組共同MCを務め、ポッドキャスト「JOI ITO 変革への道」では定期的にNFTに関する話題を取り上げているほか、Web3コミュニティーの試験的な開発に取り組んでいる。

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