ロマンスカー博物館「開業ご祝儀」一巡後の正念場 京都鉄博も企画力で勝負、「街の顔」になれるか

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京都鉄博は京都駅から西へ徒歩で20分ほど離れた場所に位置する。2019年3月にはJR嵯峨野線に最寄り駅の梅小路京都西駅が完成。同年11月には梅小路短絡線の高架の一部を活用した屋台ストリート「梅小路ハイライン」が誕生した。さらに周辺ではスターツグループやJR西日本系、三菱地所系、共立メンテナンスが次々と特徴的なホテルを開業させ、エリアの変貌ぶりが目覚ましい。その「街の顔」になっているの京都鉄博だ。

京都鉄博の前田館長の合図でSLが汽笛吹鳴(記者撮影)
雨の中を走る京都鉄博のSLスチーム号(記者撮影)

京都市内では遠く離れた観光地にいてもSLスチーム号の汽笛が聞こえてくることがあり、古都の「音の風景」となっている。観光スポットとしての博物館の認知度向上には、路線バスも一役買う。最寄り停留所の「梅小路公園・京都鉄道博物館前」行きバスは祇園、四条河原町など市内中心部も通り、「鉄道博物館」の行き先表示を掲げて走る。

ロマンスカーミュージアムも同様に、急成長するエリアに建つ。小田急・相模鉄道とJR相模線の線路に挟まれ、エントランスは各路線の駅改札と東口の「ビナウォーク」方面、西口の「ららぽーと海老名」方面を結ぶ自由通路に面している。ただでさえ、行き交う大勢の人々の目に留まりやすく小田急の看板としても地の利が抜群だ。

小田急の本社がやって来る

4月28日、小田急は2023年に西新宿1丁目の「小田急・明治安田生命ビルディング」から本社機能を同2丁目の「小田急第一生命ビル」と、海老名の「ビナガーデンズ」へ移転して2拠点体制にすると発表した。新宿本社には経営企画本部や一般管理部門、海老名本社には交通サービス事業本部などを配置する。

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ビナガーデンズはタワーマンションやオフィス、商業ビルからなる小田急が進める大規模開発プロジェクト。都心の新宿と一大観光地の箱根エリアの中間に位置する海老名は同社の事業展開の拠点になる。玄関口にあたるロマンスカーミュージアムの存在感が増しそうだ。

ミュージアムがあることから海老名駅ではロマンスカーが発車または通過する際、自主的にミュージックホーンを鳴らす運転士が多く、こちらも駅前の音の風景として定着しつつある。引退した車両の保存・展示には、鉄道会社とミュージアムのスタッフ、そしてファンが一体となって愛情を注ぎ続けていく仕掛けが不可欠だが、つねに人が集まる「街の顔」となれば、周辺エリアににぎわいを生む原動力になりうる。

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橋村 季真 東洋経済 記者

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はしむら きしん / Kishin Hashimura

三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。

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