ロマンスカー博物館「開業ご祝儀」一巡後の正念場 京都鉄博も企画力で勝負、「街の顔」になれるか

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収益基盤の強化も重要な課題だ。閉館後の館内有料スペースやクラブハウスを貸し切りにできるプランを用意している。

親子で楽しめるのがミュージアムの売りだ(記者撮影)

基本料金は、エリア限定が20万円、施設全体が50万円。団体だけでなく、鉄道好きのセレブにもオススメできそうだ。ウェディングフォトの撮影プラン(10万円)も利用実績がある。法人や団体を対象にした会員期間3年の「サポーター制度」は1口30万円。招待券150枚を贈り、社員の福利厚生や顧客サービスに役立ててもらう考えだ。

ほかの鉄道展示施設は集客にどんな工夫をしているのだろうか。ロマンスカーミュージアムの5年先輩にあたる京都鉄道博物館は4月29日に開館6周年の記念セレモニーを開催した。2020年と2021年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響があったため、開館記念日の式典は3年ぶりとなった。

6周年を迎えた京都鉄道博物館(記者撮影)

当日は蒸気機関車(SL)がずらりと並ぶ扇形車庫でのセレモニーの後、「鉄道開業150年開業キャンペーン」の一環で、梅小路公園の外縁を走るSLスチーム号のC62形2号機が「汽笛吹鳴」、同館で最古参の展示車両SL「義経」号が回転台の上で鐘を響かせた。雨天にもかかわらず、家族連れを中心とする大勢の来館者が見守った。前日の4月28日には屋内展示の500系新幹線が汽笛吹鳴を披露している。

京都鉄博も「飽きさせない企画」

京都鉄博の入館者数は、初年度の2016年度は140万人を超えたものの、2017年度は約102万人、2018年度は約85万人、2019年度は約77万人と減少傾向で推移。コロナ禍で長期の休館を余儀なくされた2020年度は約28万人にまで落ち込んだ。2021年度は約43万人に回復しており、2022年夏までにはオープンからの累計が500万人を突破する見込みだ。

京都鉄博の前田昌裕館長。2021年6月に就任した(記者撮影)

前田昌裕館長も就任2年目を迎える。初代館長からバトンを受けたのは2021年6月。「私はお客さまを増やす方向へどう切り替えるか、知恵を出していくのが役目。節目、節目でお客さまを飽きさせない企画を作っていくことが必要だ」と語った。「SLを並べて展示しているだけでなく、ナイトミュージアムを開催したように、普段とは違った景色を楽しんでもらうなどして新たなお客さまを開拓できないかと考えている」という。

京都鉄博の最大の強みは引込線を使った現役車両の展示だ。これまでにJR貨物やJR四国の車両も入線したことがある。前田館長は「関係者との調整が大変だが、変わった車両をどんどん入れていくことで、あの車両がいるのだったら見に行こうかと思ってもらえる」と今後も積極的に活用していく考えを示した。

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