「稼ぎに不満がある人」に多い意外な考え方のくせ 収入と自己肯定感の知られざる密接な関係

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中には、「はい」と即答はできないけれど、「いいえ」でもない、「どちらかというと、はい」と答えたくなるものもあるでしょう。そう思うものはそのままでOK。「『はい』にしたほうが自己肯定感が上がるんだよな……」などと思って変えないでください。

このチェックの目的は、今現在の自分の「現在地(心のあり方)」を知ることです。本心を無視したら、「現在地」がわからないままになってしまいます。それは、心のあり方を改善するはじめの一歩を踏み出せないことを意味します。決して、無理に自己肯定感が高い人になろうとしないでください。「いつか高くなるといいなぁ」と思うだけで十分です。

自己肯定感は、自分の価値を測る天秤

自己肯定感は、仕事をはじめパートナーや家、服など、何かを選ぶときに、心の中で天秤のように働きます。

仕事の場合、自己肯定感が低めで、「自分が稼げるのはこの程度だな」とか、「今の収入に満足はしてないけれど、がまんするしかないか」と思っている人は、高収入などの条件がいい仕事の話があっても、自分に見合わないと思って、選択肢から外してしまいます。高収入に憧れているのに、無意識のうちに、心の天秤のバランスが取れる低収入の仕事を選んでしまうのです。

念願の昇進の話が来て「ヤッター!」と喜んでも、やっぱり心の天秤のバランスが取れなくて、丁重に断ったりします。パートナーを選ぶ際にも、自分を大事にしてくれる人だと、相手への比重が重くなってしまうため、あえて自分のことを粗末に扱う人を選びます。住む家や車も同様で、新しいものや人気のものは避け、状態があまりよくないものや不人気のものを選びます。

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容姿のコンプレックスが強いとオシャレから縁遠くなるのは、素敵な服や髪型への比重が重くなって自己肯定感とのバランスが取れないと感じるため、自分はオシャレをするに値しない、と結論づけてしまうのです。

自分自身に、オシャレをして楽しむ許可を出せていない、と言うこともできます。頭では、「たくさん稼ぎたい」「いい人と出会いたい」「いい家に住んで、いい車に乗りたい」「いい服を着たい」と願っていても、それらが自分の自己肯定感に見合っていないと居心地が悪くなるため、選択の基準を下げてしまうのです。

逆に、自己肯定感が高ければ、頭で願うことと心の天秤にギャップが生じないため、選択の基準を下げる必要がなく、いいと思う人、家、車、服を素直に手に入れることができます

仕事を選ぶときも、「自分はたくさんお金を手にしていい人間だ」と思えているため、高収入の仕事を選べます。仮に安い給料やギャラを提示されたとしても、「自分がする仕事にはとても価値がある」と思えているため、交渉する、または断る、という選択を取ることができます。

山根 洋士 心理カウンセラー、メンタルノイズ心理学協会会長

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やまね ひろし / Hiroshi Yamane

両親の離婚、熱中していたスポーツの挫折、就職の失敗などを経て、情報誌編集者からノンフィクションライターとして独立。金銭的な成功をつかむものの、激務のあまり過労死寸前で緊急入院。入院生活で「なんのために生きるのか」を模索し、心理療法を学び始める。心の風邪薬のようなカウンセリングを提供したいという想いからカウンセラーになる。実践中心のカウンセリングで一線を画し、8000人以上の悩みを解決。著書『「自己肯定感低めの人」のための本』(アスコム)がメンタル本大賞2021優秀賞を受賞。

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