ドイツ渡航でわかった日本コロナ規制の自由さ 店ではマスク外しを促すが、バスは厳重マスク

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絶叫マシンでもノーマスクで絶叫していた(写真:筆者撮影)

筆者は弟とともにミュンヘンで4月末から5月にかけて開催されていた春祭りに行きましたが、絶叫マシーンに乗った人々がマスクをせずに絶叫していて、マスクを着けているのは弟と筆者だけでした。

一昨年と昨年は中止になった世界最大規模であるミュンヘンのビール祭り「オクトーバーフェスト」も今年は3年ぶりに開催されることが決まりました。ビールを飲んで、ベンチの上に立って歌ったり踊ったりする人々がマスクをするとはまず考えられませんから、今年の9月と10月には何万人もの人がノーマスクで酒を飲みながら大騒ぎするわけです。これが良いか悪いかは別として、「日本とはコロナに関する認識がかなり違う」のは確かです。

着陸から空港を出るまで4時間

実はドイツ渡航のうちで一番大変だったのは「日本への帰国」でした。日本へ帰国する前、72時間以内にミュンヘンで日本の厚生労働省の規準に沿ったPCR検査を受けなくてはいけません。日本の規準となっている検査はドイツでは一般的ではないため、これを実施してくれる検査機関はミュンヘン市内に3カ所しかなく、検査のために遠出をしました。

羽田空港は検査で混雑していた(写真:筆者撮影)

日本に入国するために事前に携帯電話に専用のアプリをダウンロードし、羽田空港に到着後は唾液による検査を受けました。羽田での手続きはすべてスムーズにいったものの、検査結果の待ち時間が長かったこともあり、空港を出たのは、飛行機が着陸してから4時間後でした。

日本に帰国して数日後に「来月の6月からは日本への入国に関する規定が大幅に緩和される」と聞き、ドイツに行くタイミングをもう少し後に伸ばしていたら、もっと楽だったかもしれない……とちょっぴり悔しかったです。

ドイツと日本を比べ、どちらのほうが自由なのかを考えましたが、よくわからなくなってしまいました。ドイツでは公共交通機関以外では、マスク着用の義務はありません。しかし、それはあくまでも現時点の話です。一昨年はマスクをしないと罰金を支払わないといけない時期がありましたし、夜間が外出禁止だった時期もありました。

日本では、「まん延防止等重点措置」が適用され、飲食店等に対して営業時間短縮などの要請が発出されましたが、マスクをしないと罰金といった法律はありません。にもかかわらず、日本で相変わらずマスクを着用している人が多いのです。

日本のように同調圧力があるからマスクをせざるをえない雰囲気のほうが不自由なのか、それとも欧州のように、禁止項目を増やして違反した者を法律で厳しく取り締まるほうが不自由なのか。筆者は後者のほうが不自由だと思います。日本には同調圧力があるとはいえ、「国から押さえつけられている」わけではないのですから、コロナ禍においては日本ほど自由な国もないと思うのです。

サンドラ・ヘフェリン コラムニスト

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Sandra Haefelin

ドイツ・ミュンヘン出身。日本歴20年。 日本語とドイツ語の両方が母国語。自身が日独ハーフであることから、「ハーフといじめ問題」「バイリンガル教育について」など、多文化共生をテーマに執筆活動をしている。著書に『ハーフが美人なんて妄想ですから!!』(中公新書ラクレ)、『ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ』(ヒラマツオとの共著/メディアファクトリー)など著書多数。

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