東大生に超人気の講義「AI経営」を学ぶべき理由 「レベル1~2」の日本企業は逃げられない

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ただ、例えば農業がDX化、AI化し、衛星データを活用した天候予測から作物の育成方法、スマート化など大きなパラダイムシフトに踏み込んでいく。自給自足であればそこまで踏み込む必要はないが、産業としてスケールするには、DX化、AI化を取り入れなければスピード感や事業規模において絶対に勝てない。そこを目指すかどうかは、大きな経営の判断になる。もちろん、これはほかの産業、ほかの企業にとってもまったく同じである。

アメリカには「AI脅威論」が根深く、AIが人間に取って代わるという恐怖が染みついている。しかし、日本にはその感覚がほとんどない。それは、労働人口の減少が深刻な問題となっているからだ。

とくに、長年の勘で素晴らしい仕事をする建築現場のベテランが急激にいなくなり始めている。その知見がなくなることに対する危機感は、相当なものがある。例えば、建築業界のある大手企業がレベル4に位置づけられるほどDX化、AI化を進めているのは、その危機感の表れである。

AIとデータの力を最大化できるか

日本企業は、もう逃げられない。

レベル1、レベル2にとどまっている多くの企業は、すぐにでもAI経営に軸足を移していかなければ、競争に勝てず生き残れなくなる。

私は、前職でテックジャイアントと呼ばれる企業に役員として在籍して、どれだけAIを使い倒しているのかを目の当たりにしてきた。その危機感から、PwCにおけるAI経営のプロジェクトを始めた。AI/テクノロジーの活用こそが、彼らのエクスポネンシャル(指数関数的)な成長を支えているのだ。

AI(人工知能)やIoT(Internet of Things)、ビッグデータ、5Gなどのデジタルテクノロジーを活用し、競争優位性を中長期的に確立するビジネス変革をどのように実現すればよいのか。

企業がこのようなデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するにあたっては、データ活用の巧拙がその結果を左右する。AIとデータの力を最大化し、戦略的に経営の中枢に活用できる企業が勝ち残っていく。

保有しているデータ、これから入手するデータは、種類も量も加速度的に増えていく。AIの活用によって、これらのデータを迅速な経営判断につなげ、ビジネス価値を生み出していくことが、企業にとっての重要な経営課題となる。

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